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赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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50-2:蝙蝠の悪知恵(後編)

特にオチも考えてないからこうなるんだ、っていうことの見本と言うか。
まぁどうぞ。




あの後慌てて二人を追いかけてアンナの家に行ったのだが、どうやらアンナの方にも話は伝わっていたらしく、「うちで預かる分には何も問題ないですよ。」と笑顔で言い切られてしまった。
とりあえずその場は何かあったらすぐ連絡するってことで、そのまま預けて我が家に戻ってきたんだが・・・
「・・・おい。」
「ん? 何だユーリ?」
「さっきから随分嬉しそうだな。」
帰ってきてからの、トトルの機嫌の良さは手に取るようにわかった。
尻尾はずっと元気に振れているし、普段はあまり変化の無い表情も、ずっとにやけっぱなしだ。
「そっ、そんなことない! そんなことないぞ!」
「ふーん・・・」
必死になって何をそこまで否定してるんだか・・・。
「そ、それより! 今日は確か武器の手入れをするんじゃなかったか!?」
「あ? あー・・・そういやそうだったな。」
「俺も手伝うから、さっさと済ませてしまおう!」
何かここまで空々しいと逆に突っ込めなくなるな・・・。


その後武器の手入れや狩り用のアイテムの確認、家の掃除や農場の点検など、今日やろうと思っていた用事は日が暮れる前に全て終了してしまった。
それもこれも全て大いにトトルが張り切ってくれたお陰なのだが・・・
「これで今日の用事は全部か?」
「んー・・・まぁそうだな。後は別の日でも大丈夫だ。」
さて、用事が早く済んだのはありがたいが、時間が空いてしまった。
今から狩りに行くというのも流石に疲れるし・・・どうしたものか・・・。
あ、そうだ。
「じゃ、俺ちょっとククルの様子を見てくるよ。多分すぐ帰ると思うけど。」
アンナの家ならすぐそこだし、適当に話でもしてたら時間も潰れるだろう。
そう思って玄関の方へ歩き出した途端、トトルが腕を掴んだ。
「だ、ダメだ!!」
いきなり大声でそう言われ、面食らってしまう。
「な・・・どうしたんだ? そんな切羽詰ったような顔して・・・。」
「い、いや・・・せっかく預けたのにユーリが顔を出したら、ククルが帰りたがってしまうかもしれない・・・」
「それはまぁ、そうかもしれないけど・・・。」
しかしそれだけの理由で、あんな大声を出すものだろうか?
・・・もしかして
「何か、ククルに帰ってこられちゃまずい理由でもあるのか?」
「・・・そ、そそそ、そんなことは・・・!?」
トトルの尻尾が面白いくらいに不安定に動き回る。
ここまで分かりやすいのも少し考え物だな・・・。
「トトル。」
「な、何だ?」
「今正直に言えば、怒るだけで済ます。言わないのなら・・・」
「なら・・・?」
「そうだな、向こう一週間口利かない。」
「!!」
「さぁ、どうする?」
もうほとんど選択肢など無いに等しい二択だが、それでもトトルは大いに迷い、少しづつ話し始めた。


アンナ達がコウライを連れて遊びに来たあの日に、トトルはコウライに相談を持ちかけたらしい。
まぁ要するに、お子さんの居る家庭では夫婦生活はどうしてるのか、みたいなことを。
それを聞いたコウライが不憫に思ったのと、それと本当に男の子も欲しかったのもあって、今日のお泊りを提案したらしい。
で、トトルとしてはククルがあちらに預けられている間に・・・という算段だったと。
「・・・つまり、ククルが居たら何時まで経っても出来ないから、お泊りなんて言い出したわけか。」
「・・・はい。」
身を縮こまらせて正座しているトトルに、俺は溜め息をつく。
まぁ・・・確かに最近はククル中心の生活で、トトルに構ってやれなかったのは事実だ。
だけど・・・
「こういうことは、人に相談する前に俺に相談しろよ・・・。」
「で、でも・・・こないだユーリは嫌がった・・・。」
「そりゃ何時子供が来るか分からないんだから、嫌に決まってるだろ。」
「うぅ・・・ごめんなさい。」
「あのなぁ・・・それもそうだけど、それ以上に問題なのは、自分達の都合で子供を遠ざけるような真似をしたってことだ。何か事情があってそうせざるを得ないってならまだしも、ちゃんと話し合えばどうにか出来ることだろ?」
「ユーリ・・・」
「だからな、こういう事はまず俺に相談してくれ。俺だって別に・・・その・・・トトルと一緒に居たくない訳じゃない。言ってくれれば、どうにか工面して時間を取る事も出来るから。」
「・・・ユーリ!」
「うわっ!?」
いきなり抱き付かれて、そのままベッドに二人して倒れ込む。
「ごめん・・・今度からちゃんとユーリに話すようにする・・・。」
「・・・確か発情期の時も同じ事言ってなかったか?」
「う・・・。」
「・・・俺はさ、ククルと違って目で話す、なんて真似は出来ないから、ちゃんと口で言ってくれ。そうすりゃ出来る限りのことはしてやれるから。」
「・・・ユーリ・・・ありがとう・・・」
そのまま額や顔に、いくつもキスが降ってくる。
直に触れる体温が心地いい・・・けど
「・・・ただし、今日はダメだ。」
「そんなっ!?」
「こーゆーことの為に自分が預けられたなんてククルが知ったら、どう思う?」
「それは・・・うぅ・・・」
「ま、そういうわけだから、一緒にこのまま昼寝でもするか。幸い今日はトトルのお陰でもうする事ないし。」
「この為に、仕事全部片付けたのに・・・」
「やっぱりか。・・・でもまぁ、働いたのは事実だし、今度何かご褒美やるよ。」
「ん・・・ふぁ・・・。」
「・・・おいおい・・・もう寝ちゃったのか?」
微かに聞こえる寝息と、胸の鼓動だけが部屋の中を満たす。
・・・何だかんだ言っても、ククルが来てから結構慌しい日が続いていたし、こういう風にゆっくりできる時があって、良かったかもしれない。
俺はトトルの胸に頭を預け、静かに目を閉じた。



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