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赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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45:じんるーにゃるがくるが

某所で見かけた雛の絵が余りにも可愛くて書き上げてしまったブツ。
まぁどうぞ。



ふわっふわ。いや、もっこもこのふわっふわ。
いやいやもにゅもにゅのもにゅふわ!
そうこれはもにゅふわだ!
「・・・も、もにゅふわ・・・!」
「・・・ユーリ?」
「あ、あぁいや何でもない・・・。何でもない・・・!」
「実は~・・・お二人を呼んだのは~、他ならぬこの子の事でなのよ~」
「ふきーっ! にぃーっ!」
ギルドマスターのお姉さんが言う「この子」は、余り広いとは言いがたい檻の中に閉じ込められ、必死で毛を逆立てながらこちらを威嚇してくる。
あぁでもその様子がまた可愛い・・・! 犯罪的なまでに可愛い・・・!
「人が近付くとこの調子で~流石に竜人族の私も困っちゃって~・・・」
「な、なるほど・・・それでトトルの出番ってわけですね。」
俺はどうにか平静を装いつつ、「この子」を見る。
未発達な四肢やまだ短い尻尾、それに黄色いくちばし、つぶらな瞳。

まだ生まれて間もないであろう、ナルガクルガの雛を、俺はじっと見る。

あぁ可愛い本当に可愛いもにゅもにゅしたい朝から晩までもにゅもにゅしたいそして御飯上げたり風呂に入れてあげたりそいでもってその後また寝るまでもにゅもにゅして寝た後も起こさぬようにもにゅもにゅもにゅもにゅ
「・・・ユーリ?」
「っは!? い、いや何でもない! 何でもないから!!」
そうだ、いくら可愛いとは言え、この子は本来野生の雛。
無闇に人が触れて弄んでいいものではない。
本来は親の元で育つはずが、悪質な密猟者に親を殺され、連れ去られる所をギルドに保護された子なのだ。
そしてポッケ村のギルド支部に運ばれ、今こうして俺たちの目の前にいる。
本来なら、会うべきではない関係なのだ。
「同じナルガクルガのトトルさんならどうにか意思疎通出来るんじゃないかと思ったんだけど~・・・出来るかしら?」
「やってみる。」
トトルは檻の目前で跪き、同じ目線で雛と見詰め合う。
雛の方もじっとトトルを見詰め・・・そんな時間が数十秒続いた。
その間俺とギルドマスターのお姉さんは、その様子を固唾を呑んで見守った。
すると、やがて雛の方に変化が起きてきた。
まず、柔らかそうな毛が徐々に短くなり、地肌が現れる。
そして肌の色が人のそれに近くなり、顔の目鼻立ちも人のものになる。

ほんの数秒で、ナルガクルガは人の子の姿になってしまった。

「・・・っこれって」
「密猟者に、妙な薬を使われたそうだ。」
トトルが振り向き、俺を手招きする。
何かと思って近寄ると、今度はしゃがむ様にと手で示す。
それに従ってしゃがむと、再び雛は警戒心を露わにして唸り始めた。
そして、その体も再びナルガクルガのものになる。
「・・・興奮すると、ナルガクルガに戻るのか?」
「そうみたいだ。俺に使われた薬とは違うものなのかもしれない。」
・・・別の変異薬・・・いやそれとも、まだ幼いせいで薬の効果に微妙な変化が起きたのか・・・。
と、考え込んでいると、檻が激しい音を立てた。
雛が隙間から腕を伸ばし、俺を引っかこうと動き回る。
思わず身を引こうとするが、トトルは落ち着いた調子で雛に語りかけた。
「大丈夫。ユーリは俺のつがいだ。ククルを傷つけたりしない。」
雛はその言葉に動きを止め、じっと俺を見る。
あんまり真っ直ぐな目で、何だか見られるだけで居た堪れない気分になるが、どうにか目を逸らさず俺もじっと見詰め返す。
すると雛はまた人間の姿となった。
・・・とりあえず、敵とは思われなくなった・・・かな?
今度は俺が檻の隙間から手を差し入れ、雛の顔へ近付ける。
初めはじっと手を見て、やがて匂いを嗅ぎ、最後は頬を指に擦り付けてくれた。
それが何だかとても嬉しくて、俺はもう片方の手も入れ、両手で雛の頭を撫で繰り回す。
雛の方も気持ちいいのか、目を細め「にーっ」「きーっ」と甘えてくる。
あぁもう可愛いなぁ・・・! 毛もふわふわ・・・!
「・・・どうやらもう大丈夫そうね~、こんなに早くあっさり解決しちゃうとは思わなかったわ~。流石ユーリさんね~。」
「・・・え? あの、何で檻を外して・・・?」
だが俺が尋ね終わる前に、檻は開いてしまう。
雛は開いた所から飛び出し、俺に抱きついてきた。
「にーっ、にーっ」
「わっと、っと・・・」
「ククルもユーリが気に入ったみたいだ。」
「ククル? あ、この子ククルって言うのか?」
「あぁ。」
「それじゃ、ユーリさん。ククルちゃんをよろしくね~。」
「・・・はい!?」
今なんて!?
「だって~、他の人には懐かないし、トトルさんも居るし、ユーリさんに面倒見てもらうのが一番いいって私は思うんだけど~。」
「い、いやでも! この子はもともと野生の雛だし・・・」
「そんな不安定な状態で自然に還しちゃったら、残酷な事を言うようだけど、すぐに死んでしまうわ~・・・元はと言えば、密猟者達人間の仕業なのだし、同じ人間である私達が責任を取るべきだと思うの~・・・だから落ち着いて自然に還せる様になるまででいいんだけど~・・・だめかしら?」
うぅ・・・流石ギルドマスター・・・!
お願いするような台詞と見せかけてとんでもなく良い笑顔でプレッシャーをかけてくる・・・!
「にー・・・?」
あぁ・・・ククルまでそんな汚れの無い瞳で・・・!
「・・・わ」
「わ?」
「わ、かりました・・・。」
「ふふっ、どうもありがと~!」
「で、でもククルの体が落ち着くまでですからね! いいですね!」
「わかってるわよぅ~」
「にー」
「あらあら、ククルちゃんも嬉しいみたいね~」
あぁ・・・また家計が圧迫される・・・そして変異体が増えてしまった・・・。
うぅでも・・・
「きっ!」
ほお擦りしてくるククルに、もう何でもいいや、と思ってしまう自分がいる。
「・・・まぁ、よろしくな。ククル。」



こうして、我が家にもう一人、家族が増えた。

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