FC2ブログ

赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

4-1:濡羽色の尾(前編)

今回もちと長いので分けてます。すまんね。




たんったんっと軽やかな音を立て、トトルは跳び退る。
一瞬にして目標を視界から失ったリオレウスは、首を上げてあちこちを探すが、トトルのスピードに付いていけず立ち往生するばかりだ。
こうなってしまえば、今度はリオレウスの方が的以外の何者でもない。
俺は弓を引き絞り、頭を狙い撃つ。
矢は眉間に突き刺さり、リオレウスは痛みに悶えた。
その反動で矢は抜け落ち、次の瞬間、リオレウスの咆哮が辺りに響き渡った。
だが俺は構わず矢を番え、そのまま連続して矢を射る。
本来ならあまりの騒音に耳を塞ぎ動けない所だが、今日の装備は音を吸収してくれる「耳栓」のスキル付きだ。
とめどない矢の雨に、一瞬ではあるがリオレウスが怯んだ。
それを見逃さず、俺はトトルに合図を送る。
「トトル! 今!」
影から影へ跳び渡るように、トトルは音も無くリオレウスへ肉迫する。
そして両手に持った夜天連刃【黒翼】で、次々に斬撃を繰り出す。
普通の鬼人化乱舞とは違い、合間合間に尻尾による重い一撃を織り交ぜた攻撃は、すぐにリオレウスを昏倒させた。
「よっしゃ!」
その隙に俺はリオレウスの足元に駆け寄り、シビレ罠を仕掛ける。
闇雲にのたうちまわる足先が罠に触れ、リオレウスの体は痙攣し始めた。
「これで終わりだっ!」
捕獲用麻酔玉を投げつけ、それが当たるとリオレウスは意識を失い、やがて動かなくなった。
「ぃよぉっし! 目標達成!」
俺は振り向き、相変らず無表情のまま突っ立ているトトルに、親指を立てて見せる。
トトルはどうすればいいのか分からないのか、少し間をおいて、微かに微笑んだ。


トトルが自分もハンター稼業を行いたいと言い出したのは、ほんの数週間前だった。
「なっ、何言ってるんだ!? ハンターつったらお前たちの天敵だぞ!?飛竜どころか同じナルガクルガと戦う事だって」
「別に、あそこに居た頃も縄張り争いで同族と戦った。」
「そ、そうは言ってもだな、トトルだって何時かは樹海に帰るつもりなんだろ? ハンターなんかなったって・・・。」
「・・・何時になるかわからない。」
「う、そ、それはそうだが・・・。」
実は、ネコバァには既に秘薬の件で手紙をやったのだが、ポッケ村へ来る道が雪崩で埋ってしまったらしく、こちらに来れるのが何時になるか分からないという状態なのだ。「それに、ユーリはカネが要る。」
「う、うぅ・・・。」
確かに、それも問題だった。
トトルやあのアイルーたちのお陰で、食費や生活費が今までの3倍も4倍も必要なのだ。特にトトルは前に食べさせたオイルレーズンが気に入ったのか、甘いものに目が無くて、炎熱マンゴーや氷樹リンゴといった高級フルーツをどんどん食べてしまう。
そのせいで賞金首の報酬金ももう尽きかけていた。
「・・・ダメか? 俺はユーリを手伝いたい。」
「ぐ、くううぅ・・・。」
ち、畜生・・・こ、こんなときだけそんな顔で・・・!
「わ、わかった・・・ちょっとギルドに聞いてみる。」
「本当か!?」
だからこういう時だけそんな笑顔満開にするな!
正直、ギルドに行けば身元のはっきりしない人間は認められないと、断わってもらえると思ったのだが、最近はハンターも人手不足らしく意外とすんなり申請できてしまった。
しかも
「あなたの紹介なら安心よ~。」
とギルドマスターのお姉さんには太鼓判まで押されてしまった。
かくして、世にも珍しいナルガクルガのハンターが誕生したわけだ。
しかし俺の心配とは裏腹に、トトルは元々の身体能力もあって、すぐさまハンターとしての頭角を現した。
訓練所の教官も「もう教える事は何も無い! こいつならどこでも行けるぞ!」と僅か一週間で初心者訓練卒業を認めた。
そしてその言葉どおり、トトルは俺の狩りのパートナーとして遺憾なく能力を発揮し、赤字になりかけだった家計は見事黒字に持ち直したのだった。


「かんぱーい!」
「乾杯。」
杯を打ち鳴らし、俺は一息で酒を呷る。
今日のリオレウスでまた当分は暮らしていけるし、何より天鱗が出るしで、俺はもう踊りだしたい気分だった。これで前から念願だったプロミネンスボウⅢも作れるぞー!
「一時はどうなることかと思ったけど、トトルのお陰で大助かりだよ! ほんとありがとうなー!」
「ユーリがいいなら、それでいい。」
そう言ってまた微かに微笑むトトルの顔に、俺も釣られて笑顔になる。
ここ数週間一緒に過ごすようになって、俺にもトトルの表情がだいぶわかるようになってきた。最初は無愛想だなーと思ってたけど、意外とそんなことはなく、結構表情豊かだ。
それに何より、あのアイルーたちと違って頼りになるしなー。
あ、そうだ。折角お金もたまってきたし・・・
「よぉし! じゃあ何かトトルにも買ってやるよ! 新しい双剣とかどうだ?」
「いや・・・俺はこれでいい。これが一番使いやすい。」
トトルは腰に佩いた夜天連刃【黒翼】を撫でてそう答える。
正直、ナルガクルガがその同族の素材でできた武器を扱うなんて、と最初は思ったのだが、トトル自身はこれが一番馴染むらしく、ずっと使っている。
「んじゃ何か欲しいものない? 甘いものがいいなら、ちょっと時間はかかるけど街の方からお菓子とか取り寄せてもらって・・・」
「欲しいもの・・・じゃあユ」
「あ、ユーリじゃない! 久し振りー!」
「わ、ラジー!?」
いきなり横から掛けられた声と、そしてその声の主との二つに、俺は驚きの声をあげる。
「聞いたわよー。あの賞金首捕まえたそうじゃない! やるわねぇ! っと、あら、そちらの方は?」
「ははは・・・あ、彼はトトル。えと・・・ちょっと事情があって今一緒に暮らしてるんだ。彼も一応ハンターだよ。」
「へぇー、そうなの。よろしくねトトルさん。私はラジーよ。」
握手を求めて右手を差し出したラジーに、しかしトトルはきょとんとした顔で答える。
「・・・トトルサン? 俺はトトルだ。」
その答えに今度はラジーがきょとんとしてしまい、そして次の瞬間には噴き出した。
「ぶっ! あはははっ! お、面白い! 面白い人ねぇ!」
あー・・・そういえば敬称とか敬語とか知らないよな。飛竜だし。
一瞬ギョッとしてしまったが、相手がラジーみたいな豪快な人でよかった・・・。

それからはラジーも一緒になって、宴会が始まった。
ラジーのほうも今さっき討伐を果たしたらしく、狩りの話に華が咲く。
そして俺はまた調子に乗って飲みすぎてしまい、机に突っ伏しているところだ。
あー・・・そういえばトトルの欲しいもの・・・聞いてないや。
「トトルはお酒って飲まないの?」
「苦くてあまり好きじゃない・・・。甘い方が好きだ。」
けどだめだ・・・眠くて死にそう・・・。
「じゃパニーズ酒かブレスワインがいいわよ。すっきりした甘さなの。ほら飲んでみて。」
「そうなのか・・・うん、本当だ。甘くて美味い。」
も・・・・寝る・・・。
「でしょー? あ、そういやユーリ・・・ってもう寝ちゃったか。」
「ユーリがどうかしたのか?」
「実はねー・・・こないだプライベートシリーズ作ったんだけど・・・」


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://akatoraairu.blog36.fc2.com/tb.php/7-9e38a8c1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。