赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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38-2:名前も無い感情(後編)

そして早くもシリアスブレイクの予感。
まぁどうぞ。




「ユーリ!!」
鋭い呼び声に振り向くと、真っ赤な双眸が闇に浮かんでいた。
「・・・トトル? どうしたんだそんなに慌て」
「ユーリっ!」
何事かと聞く前に抱きつかれ、身動きが取れなくなってしまう。
・・・何だか最近、トトルに抱き付き癖がついてる様な・・・。
「よかった・・・!」
「おいおい、だからどうし」
そこで俺は初めて気付いた。
俺を抱いているトトルの腕が、とても震えていることを。
「怖い・・・夢が・・・ユーリが居なくて・・・!」
夢・・・?
まさかトトルも何か嫌な夢を見たのだろうか?
あんなに幸せそうな寝顔してたのに。
普段なら「いい年した男が悪い夢見たくらいで騒ぐな」と突っ込むとこだが・・・
「起きたら、ユーリが居なくて・・・匂いを辿って探した・・・」
「そっかそっか。ごめんな、急に居なくなって。」
今日ばかりはそういう気にもなれず、ぽんぽんと背中を叩いて落ち着かせてやる。
しかし二人揃って悪夢を見るとは、いよいよつがいらしくなってきたな・・・何だか気恥ずかしい気もするが。
「ふえっくしゅ!」
「あ、寒かったか?」
「い、いや、大丈夫・・・。」
「無理するなって。寝巻きで出てきたら寒いのは当たり前だから。」
「でもユーリだって寝巻きなのに・・・」
「はいはい、んじゃ一緒に戻ろう。それでいいだろ?」
「・・・うん。」
この時は誰も見てないのをいい事に、トトルの手を引いて家に戻った。
冷えた指にはそれがとても温かくて、むず痒かった。


「ユーリは何であんなところに居たんだ?」
「ん? んー・・・まぁトトルと同じ。嫌な夢見たから。」
家に戻って再び二人で同じ床について、また眠るまで少し話をした。
その間、トトルはずっと手を繋いだままで、もうどこかへ行ったりしないと言っても、離そうとしなかった。
「どんな夢だ?」
「・・・俺がトトルを狩る夢。」
「・・・そうか。」
「・・・それだけ?」
「俺は別に、ユーリになら構わない。」
「いやいや、そこは構ってくれ。頼むから。」
だがトトルは何時ものきょとんとした顔で言う。
「つがいは何も食べるものが無かったら、相手を食べるものだ。そして大体の場合、子供を守るために雌が生き残る。」
・・・うーん・・・我ながら凄い相手のつがいになったものだ。
最早突っ込む気力も起きない。
「俺は何があっても、トトルを食べるような事はしないから。」
「でもそれじゃ子供が」
「食べないから。絶対に食べないから。あと子供も居ないし。」
「それはそうだが・・・」
「それより、トトルはどんな夢見たんだ?」
「・・・」
途端に無口になった。
てことはつまり・・・
「トトル?」
「い、言っても怒らない・・・?」
「内容による。あと言わなきゃもっと怒る。」
「その・・・メイド服が・・・」
やっぱりか。
やっぱりメイド服関連か。
「ユーリに着せようと思って隠しておいたのが見つかって、ぜ、全部捨てられて・・・! う、うっぐずっ・・・」
泣くほどの事なのかそれは。
「そ、それでユーリが『もうトトルはメイド服とつがいになれ。俺はもう知らん。』って言って、どこにも居なくなって・・・!」
「それで起きたら本当に居なくなってたわけか・・・。」
うんなんと言うかもう。
俺の感動を返せ。本当に。
「あ、そういやトトル、お前さっきまで抱えてたメイド服は?」
「・・・! し、知らない! ラジー特製の七色メイド服なんて知らない!」
「そうかそうか。知らないのか・・・俺ももう知らん。寝る。」
「ゆっ、ユーリいぃ・・・! 嫌だぁ、俺のつがいはユーリだけだからあぁ・・・!」
「あーもう・・・今日は無駄に疲れた。本当に疲れた。」
「ゆーりいいぃぃ・・・!」


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