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赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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32-2:せめて狩人らしく(中編)

続きですよー。
まぁどうぞ。




分かってはいた。
どんなに家から離れたと言っても、逃げられたわけじゃない。
キーツだって、ほとんど保護者として付けられたんだって。
でも、それでも
「いやあぁっ!」
刃がケルビの首筋に埋り、血が飛び散る。
間を置かず二撃目三撃目を繰り出し、やっとケルビは動かなくなった。
「これで三匹目っと・・・。」
剥ぎ取りナイフで角を切り取り、道具袋に突っ込む。
あれからずっとケルビを追いかけまわしてるけど、まだ三匹目だ。
ユーリの言ってた通り、このペースじゃ本当に日が暮れてしまう。
『無理にハンターなんかすることない。悪い事言わないから王都に戻れ。』
「くそっ・・・!」
いまだに、ユーリの言葉が頭から離れない。
確かに、経験豊富なあいつから見れば、俺のやってることなんて子供の遊びか、金持ちのぼっちゃんのわがままにしか見えないんだろう。
けど、ユーリならわかってくれるんじゃないかって、心のどこかでは思っていた。
沢山の変異体と一緒に暮らしてる、ユーリなら。


俺は昔からこんなひねくれた性格だったから、友達も少なかった。
構ってくれるのはキーツを含めた家族と、クラウディアくらいだった。
そのクラウディアだって、俺の性格にはほとほと呆れてたし、両親と兄貴達はベタベタ可愛がるだけで、その実俺の言葉なんてほとんど聞いてくれなかった。
ちゃんと俺の話を聞いて、ちゃんと俺のことを叱ってくれたのは、キーツと、もう今は死んじまったじいちゃんだけだ。
世間じゃハンターズギルドの幹部だとか伝説のハンターだとか色々言われてたけど、俺にとっては何時でも楽しくて面白い話を聞かせてくれて、そいで怒る時は滅法怖いじいちゃんだった。
じいちゃんの話は、ハンターとして山や海を駆け回った時の冒険譚で、どれをとっても俺をワクワクさせてくれた。
砦ほどの大きさを持つ、老山龍。
空を白く染め上げる、それ自体も真っ白な祖龍。
雪山の奥に眠ると言う、巨大な崩竜。
だから俺にとって、ハンターが憧れと同時に目標となったのはごく自然なことだった。
けど当然家族達は猛反対した。
唯一じいちゃんは笑って賛成してくれたけど、俺が10に届くか届かないかの時に、この世から居なくなってしまった。
それから数年間は家のハンターズギルドに関する業務からさえも遠ざけられ、ただ苛立ちを募らせる日々だった。
だけど、今になってやっとチャンスが巡ってきたのだ。
この査察をやらせてくれないなら家を出る、なんてほぼ脅し同然でこの村にキーツと来て、憧れだったハンターズライセンスも手に入れて・・・けどそれだってユーリが言ったとおり、実家の指図であって俺の力じゃない。
そうだ、ここに来てやっとスタートラインに立っただけなんだ。なのに家から出られたってだけで満足して、ちゃんと狩りの勉強もしてなかった。
これじゃユーリがあんな風に言うのだって当たり前だ。
俺の目標は、キーツと一緒にハンターとして世界中を回る事。
だから、トトルとハンター稼業をしてるユーリとは同じ仲間だと思ってた。
けどそれは、タダの甘えだったんだ。


「おーい! アーヴィンこんなとこに居たのか!」
「ユーリ・・・」
「全く勝手に一人で行くなっての・・・えーと、まぁその何だ・・・さっきは俺も言い過ぎたって言うか・・・。」
「いや、いいんだ。俺が悪かった。もっとしっかりしなきゃな・・・。」
「アーヴィン・・・。」
「だから」
俺は、ユーリの首筋に、いや、『ユーリの姿をした誰か』の首筋に刃を当てる。
「もう家には頼らない。自分の力で、自分の道を決める。」
「なっ!? ちょ、アーヴィン何を・・・!」
「動くな。」
藪の奥から、もう一人のユーリ・・・いやこっちは本物だな、本物のユーリが出てきた。
矢を弓に番え、偽者のユーリに狙いを定めている。
「・・・っ!」
「しかしよく分かったなアーヴィン、こいつが偽者だって。」
「何時もナルガクルガの匂いがするからなユーリは。」
「うぇ!? マジで!?」
「冗談だ。」
「おいっ!」
「こういうことが得意な知り合いがいるんだよ・・・なぁミズキ?」
「全く・・・中々どうしてハンターらしくなってるじゃないのあー君。」
偽者のユーリの姿が、ぐにゃりと歪んで、少年の姿になる。
やっぱりか・・・
「久し振り・・・って挨拶はあまり嬉しくないかな?」
「こっちは会いたくなかったからな。」
「な・・・いきなり姿が変わった・・・!? アーヴィンこの子・・・」
「こいつはオオナズチの変異体。うちで飼ってたミズキだ。」
「どもー。」
「う、えぇぇ!?」



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