FC2ブログ

赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

32-1:せめて狩人らしく(前編)

モンハンSSなのに全然狩りに行ってないのを急に思い出してですね。
まぁそんな感じですがどうぞ。




「でりゃあああぁぁ!!」
裂帛の気合と共に、刃が振り下ろされる。
狙い違わず、目標に向かって繰り出された斬撃はそのまま
「・・・外れたな。見事に。」
「っがああぁぁ! 畜生!!」
ケルビの横に生えていた幹に深々と突き刺さった。
「このっ! ちょこまかと・・・うごぉっ!」
そして見事なサイドステップで、アーヴィンのわき腹に角が食い込む。
軽やかな足音を立てながら、ケルビはそのまま森の奥へ駆けていった。
「っだぁくそっ! やっぱ太刀じゃねぇと当たんねー!」
「いや今のは太刀でも外れただろ。」
「大体なんで今更片手剣なんだよ! 俺は太刀の方が合ってるんだ!」
「つべこべ言わんと次行くぞ。まったくこれじゃ日が暮れても終わらん。」
「ぐぐ・・・!」
「・・・別に嫌ならやめてもいいぞ?」
「わぁったよ行くよ!」
悪態を付きながらも、ちゃんと人の言う事は聞くんだよなぁ・・・。
そういうとこは感心できるんだが・・・
「うわ! さっきので刃が欠けちまった・・・。」
「・・・待っててやるから早く研げ。」
・・・なんだかなぁ。
こんなんで本当にアーヴィンを一人前のハンターにできるんだろうか・・・。


事のおこりは数日前、いきなり家にやってきたアーヴィンの一言だった。
「頼むユーリ! 俺を一人前にしてくれ!」
「・・・は?」
「ニャニャ!? まさかそんな・・・! アーヴィンまで旦那さん狙いだったなんて・・・!」
「待て待て何でそうなるんだよ。」
「一刻も早く一人前の男になりたいんだ! 頼む!」
「ニャー! やっぱりだニャー!」
「旦那さんはどうしてこう雄ばっかりにモテるのニャ?」
「ユーリは俺のだ! 帰れ!」
「だぁもううっさい! 散れ!」
群がってくる連中を蹴飛ばして外へ放り出し、改めてアーヴィンに向かい合う。
表情から察するに、かなり深刻な事態のようだが・・・。
「・・・で? 何が一体どうしたんだ? 急に一人前になりたいとか・・・。」
「もう限界なんだ!」
「限界? 何が?」
「兄貴達がだよ!」
・・・あー・・・何となく想像ついた。
「朝から晩までベタベタしてくるし、何時までも子供扱いで・・・! 昨日なんて『あー君一緒にお風呂入ろう』なんて言ってきたんだぞ!? この歳の男が兄弟で風呂入るとかありえねぇだろ! 他にも食事のマナーがどうとか出かけるときは行き先を言えとか言ってもついてきたりとか!」
その他にも延々と出てくる兄弟の行動に、流石に俺も引く。
「だからユーリ! 俺がハンターとしてちゃんと一人前だってことを兄貴達に証明したいんだよ!」
「いやでも・・・多分あの二人なら一人前になってもずっと構い続けるぞ?」
「それなら大丈夫だ! ほら!」
そう言ってアーヴィンが差し出してきたのは、随分と高級そうな紙だった。
そこに書いてある文面にはこうある。
『あー君が一人前になったら、大人しく家に帰ります。エルバート。』
『上に同じく。スヴェン。』
「な! しっかり言質も取ったし!」
「いやあの・・・こんな適当な文面は言質とは言わな」
「つーわけでよろしくなユーリ!」
びしっとアーヴィンが指した部分の文面には
『尚不正防止の為、証明の立会人は第三者であるユーライア・エリクソン氏を指名します。拒否した場合にはクライネル家の全権力を以ってあんなことやこんなことになります。あしからず。』
殊更厳つい文字でそう明記されていた。
ちょ、何だよあんなことやこんなことって! つーか
「俺拒否権無いのかよ!」
そして結局、何故か証明の当日まで俺がアーヴィンを監督する事になってしまい・・・


「あぁもう当たんねー! 何時になったら太刀に戻れるんだよ!?」
「とりあえず片手剣が当てられるようになってからだな・・・。」
今に至ると・・・。
因みに今は森と丘で、片手剣の練習中だ。
とりあえず肩ならしってことで、ケルビの角五本の依頼を受けたのだが・・・。
しかしまぁ・・・控えめに言ってもアーヴィンの腕は・・・
「へたくそ、だなぁ・・・。」
「うっせー! 片手剣なんて使ったことないんだよ!」
「うん? 普通は訓練所で一通り武器の講習受けるだろ。まさかサボってたのか?」
「う・・・いやそれはだな・・・」
「・・・もしかして、親のコネでマトモな講習受けずにハンターズライセンス貰ったのか?」
「・・・。」
「・・・。」
・・・呆れてものも言えない、とはこのことだ、全く。
「・・・アーヴィン、お前本当に独り立ちするつもりあるのか? きっかけはうちの査察任務とは言え、どこまで実家に頼る気なんだ。」
「そ、それは・・・!」
「今回の事だってお兄さん二人に焚き付けられたようなもんだし・・・この際だからはっきり言うけど、家から出たいだけならもっと安全で稼げる仕事はいくらでもある。無理にハンターなんかすることない。悪い事言わないから王都に戻れ。」
「・・・っ!」
目を見開き、唇を震わせながら、それでもアーヴィンは振り絞った声で言う。
「俺はっ! ハンターになるんだっ!!」
「っおい!? アーヴィン!」
いきなり立ち上がり、アーヴィンは森の奥へ駆け出した。
「そこで待ってろ! ケルビ5匹くらいすぐ仕留めてくる!」
止める暇もあらばこそ、アーヴィンの姿は木立に隠れすぐ見えなくなってしまう。
「はぁ・・・全く・・・」
正直、言いすぎたとも思うが、あれが現実と言えば現実だ。
何時だってハンターには命の危機が付きまとう。
俺もこの間死にかけたばかりだ。
だからこその忠告だったのだが・・・
「ま、今は監督として見届けないとな・・・。」
この森と丘だって絶対安全と言うわけじゃないのだ、アーヴィンを一人にするわけにはいかない。
「やれやれ・・・ん?」
何か視線のようなものを感じて、振り向く。
だがそこにあるのは木々だけで、動くものは何も無い。
「気のせいか・・・?」
気を取り直してアーヴィンを追う後ろで、ゆらりと、木々が揺らめいた。



スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://akatoraairu.blog36.fc2.com/tb.php/59-00a979de
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。