赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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27:彼女の嵐

アンナさんちの子育てネタです。
まぁどうぞー。




夜の闇を切り裂くように、真っ直ぐな雷が屋根に落ちる。
轟音と閃光が空間を震わせ、ともすれば神秘的とも言える光景だ。
最も・・・それがポッケ村の、自分の家の窓から見える光景でなければの話なのだが。
「おー・・・今日は一際大きいなー・・・んじゃまた行ってくる。」
「ユーリ・・・また行くのか?」
「しょうがないだろ、放っておいたらアンナ達の家潰れるし。」
「お、俺も・・・。」
「ダメだ。こないだトトルの顔見てコウランが大泣きしたの忘れたのか?」
「う・・・。」
何だか支離滅裂な会話だが、順を追って説明するとこういうことだ。


つい先日生まれたばかりのアンナとコウライの娘、コウランは、他の多くの新生児同様、夜泣きをする。
しかしその夜泣きと言うのが、今の様に雷鳴を伴うのだ。
その威力は、幼いながらも流石キリンの娘と言わざるを得ない程。
幸い頻度はそこまで多くないが、それでも週に一度か二度、家に雷が落ちる。
武器工房の協力で避雷針を作ってみたりもしたのだが、それも二・三度の落雷にしか耐えられない。
落雷はコウランの夜泣きと連動しているので、夜泣きが治まれば落雷も止まる。なので、どうにか二人は夜泣きを止めようとあれこれ模索し、その結果・・・


「俺の胸板が一番落ち着くと・・・。」
「毎回毎回すいません・・・でもこれが一番効くんですよねー・・・。」
コウランはあどけない顔で、俺の腕の中で眠っている。
そう、何故か模索の結果行き着いた答えは、俺の抱っこだったのだ。
二人が様々なおもちゃや民間療法を試したがどれも効果が無く、ほとほと疲れ果てていた時、たまたま来ていた俺が抱っこをしてみたら、すぐさま泣き止んだ。
それ以来、雷が落ちた時は俺が出向いて抱っこをする、という習慣が出来上がってしまっていた。
「しかし妙な話だな・・・普通母の胸が一番落ち着くと思うのだが・・・。」
コウライが最もな疑問を口にする。
確かに、何故アンナの胸でなく、俺の抱っこがいいのだろう・・・?
「んー・・・私よりユーリさんの胸の方が大きいからですかね?」
「いやあの・・・確かに俺胸囲はある方ですけど、膨らみは無いですから・・・。それに、大きさだけならコウライだってあるでしょ?」
「そうなんだがな・・・けど何故かコウランは嫌がって・・・うっうぅっ・・・。」
以前、物は試しにとコウライが抱っこした時は、嫌がってすぐに泣き出した。
その時はコウランを宥めるよりも、マジへこみしたコウライを励ます方が大変だったっけ・・・。
「や、やはり娘にとって父親なんて邪魔な存在なんだろうか・・・。」
「こ、コウライしっかり! あれだよほら、コウライ身長が高いから、抱っこも高すぎてきっと怖かったんだよ!」
「そうだろうか・・・」
「まぁそれはさておき、ユーリさんのエプロン姿も板についてきましたね。」
「あ、あぁうん、そうかな?」
これ以上コウライがトラウマを引っ張り出さないよう、アンナがさりげなく話題を変えてくれた。何だかんだ言っても、さりげなくこういうことが出来るのって、やっぱ夫婦だよなぁ。
あ、因みに今俺はエプロンと背負子を着けている。
服が汚れたり抱っこで腕が疲れないようにと、アンナが毎回貸してくれるのだ。
「あ、もしかしてこの子、エプロンが好きなのかしら? コウライちょっと試しにエプロン着けて抱っこしてみて。」
「あ、あぁ。」
早速エプロンを着てコウランを受け取るコウライだったが、数秒としない内にぐずりはじめた。
「わ、わ、いかん! ユーリ!」
「おっとと・・・うーん、エプロンじゃないみたいだね。」
「エプロン着けても、嫌なものは嫌なんですかねぇ。」
「うぅ・・・!」
・・・さりげなく遠回しに傷つけるあたり、やっぱり夫婦だなぁ。
「やっぱり単純にユーリさんが好きなのかしら? こないだはトトルさんを見ただけで大泣きでしたし。」
あー・・・あの時は酷かったなぁ・・・。
結局トトルを家から出さなきゃ泣き止まなかったし。
「全くこの歳で好きな人を独り占めしたいなんて・・・将来が心配だわ・・・。ユーリさん、もしこの子が大きくなってもそんな調子だったら、お嫁に貰ってくれます?」
「はっ!?  いやあの、うえぇ!?」
「ゆっ、許さんぞ! そんなことは断じて許さん! 嫁にやるくらいならいっそここでユーライアを亡き者に・・・!」
「ふふ、やだわぁ二人とも、冗談ですよー。」
「ひぎぃ! つ、角はぁ! ああぁアァ!!」
「ははは、ですよねー・・・ってアンナアンナ! コウライの角がすごい事になってるから!」


その後どうにかコウランを寝かしつけ、家路を辿る間色々考えてしまった。
今更だけど、モンスターと暮らすって大変な事なんだよな・・・。
村に居る変異体は皆間が抜けてるというか、妙なのばっかりだからあんまり意識した事無かったけど・・・。
人とモンスターの共存がどうこうなんて大袈裟なことを言うつもりは無いが、今自分がこうして一緒に住んで生活してると、それが当たり前になってて・・・。
あー・・・なんだろう・・・あんまり上手く考えられんなぁ。
なんとももやもやした気持ちのまま、我が家の戸を開く。
「ただいまー。」
「ニャー! 旦那さん助けてだニャー!」
「あ、ユーリおかえりー!」
「・・・ガラン、あんまりアイルーをいじめるなって言っただろ。」
「いじめてなんかねーよ。ちょっと枕にしようかと思って尻尾を借りてるだけで。」
「尻尾だけは・・・尻尾だけはー! ニャー!!」
「ユーリおかえり!」
「うわっ! トトルいきなり抱きつくな!」
「ニャー! ずるいニャオイラも!」
「あ、じゃあ俺も俺も!」
「あーもー・・・。」
どうやら人の家の子の世話ばっかしてるわけにもいかないみたいだ・・・。
ま、これからもなるようにしかならんか・・・。


「あ、そういやさっきアンナに『娘をよろしく』って言われたぞ。」
「だ、ダメだ! ユーリは俺のだ!」



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