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赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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22-3:雷霆の子(後編)

これで最後ー。
どうもお疲れ様でした。
そいじゃどうぞー。




「それじゃ無事アンナの出産が終わった事を祝って・・・かんぱーい!!」
『かんぱーい!!』
一斉に掲げられた杯が、心地よい音を立てあう。
各々が好き勝手に飲んだり食べたり話したりしている間をすり抜け、俺はコウライの傍まで行く。
「お疲れさん。」
「ユーライア・・・ありがとう。皆のお陰で、無事終わった。」
「一番頑張ったのはコウライだと思うけどな。ほら。」
テーブルから持ってきた酒瓶を、コウライの杯に傾ける。
「いや、一番頑張ったのはアンナだ・・・私はその一部を引き受けたに過ぎない・・・。」
「はは・・・そっか。」
うーん・・・あの後の事は言わない方が良いよな、やっぱり。


コウライと一緒にアンナの部屋に駆けつけた後、コウライは安心と疲れのせいで、そのまま気絶してしまったのだ。
男は出産の痛みに耐えられないとか聞いたことがあったけど、正しくその通りなんだなぁ・・・などと妙な感心をしつつも、俺はコウライをまたソファーの方に運んで、それからアンナと話した。
「どう? 具合は? 辛くない? って、本当はコウライの台詞なんだけど・・・。」
「ふふ、じゃあ後で伝えて下さい。驚くくらい大丈夫だって。何故だか思ったより痛みもなくて、すんなり生まれてくれましたから、この子。」
産着に包まれて眠る赤ん坊の額には、小さいながらも真っ白な角が生えていて、一目でコウライの子と分かる。
「もう名前は決めたの?」
「コウライと二人で話して決めてあります。男でも女でも、『コウラン』にしようって。」
「コウランか・・・良い名前だと思うよ、すごく。」
「早速名前どおり、嵐を巻き起こしてくれましたけどね。」
「嵐って・・・じゃあさっきの・・・!?」
まさか、あの特大の雷が・・・?
「あれがこの子の産声ですよ。全く、今からこの調子じゃ、将来どれだけ大物になるのかしら・・・。」
「あはは・・・。」
そうは言っても、心から楽しげなアンナの表情は正に母親のそれだった。だから俺も心から、新しい命とその母を祝福した。
「まぁとにかく、アンナはお疲れ様。コウランは、お誕生日おめでとう。」


「本当に、アンナはよく、頑張って・・・!」
男泣きに泣いてるコウライには悪いが、アンナ自身は楽に終わった事や、コウランの能力の凄さは黙っていよう・・・うん・・・。折角の感動に水をさすのもあれだし・・・。
「あはは! どう飲んでるー!?」
「あ、ラジー。」
「ラジー、っも、ありがとう・・・! 君のお陰でっ、諦めずに最後まで頑張れた・・・!」
早くも酔ってるラジーに、コウライは律儀に礼を述べる。
しかしラジーはそれを笑い飛ばすのだった。
「あははは! いいのーいいのー! 旦那の方の出産を手伝ったとか良い思い出話になるわぁ。それよりさ、生まれたの女の子だったんですって?」
「あ、あぁ・・・。」
「そりゃコウライさんも大変ねー! 女の子は成長が早いから、すぐ一緒にお風呂入ってくれなくなるわよー。」
「・・・え?」
「その上『お父さんの下着とは一緒に洗わないで!』とか『ウザイキモイ触るな』とか平気で言うようになっちゃうし、挙句の果てにはお嫁に行っちゃうしねー!」
「ちょ、ラジー!」
「そ、そんな・・・! お、お、おおおぉぉぉ・・・!」
「コウライしっかり!  しっかりして! まだ十数年は先の話だから!」
「十数年なんて言っても、あっという間だけどねー!」
「おおおぉぉ・・・コウラン・・・! コウラン・・・! お、お父さんはそんな娘に育てた覚えは・・・!」
「コウライ! まだコウランは0才児だから! しっかり現実を見て!」


それから泣きに泣きまくるコウライをどうにか宥め終わった頃には、夜も更けきって宴会も終わっていた。
簡単な片付けだけ手伝って、コウライとアンナに挨拶を済ませて家路を辿っていた時、トトルがこんな事を聞いてきた。
「ユーリ、コウランは今日が誕生日になるのか?」
「ん? まぁそうなるな。」
「そうか・・・。」
「トトル? どうしたんだ?」
「いや・・・ユーリの誕生日の時もそうだったんだが・・・俺は自分の誕生日が分からないから、そういうのがよく分からない・・・。」
少しばかり寂しそうなトトルの表情に、俺は思わずその頭を撫でていた。
「じゃ、今度はトトルの誕生日を祝ってやるか。分からないなら分からないで、好きな日でいいぞ。」
「・・・いいのか?」
「大事なのは日付じゃなくて、感謝する事だ。前にも言っただろ?」
「ユーリ・・・!」
「わっ! だからいちいち抱きつくなって・・・!」
「あっ! ずっりぃ! じゃ俺の誕生日明日な! さぁ祝え!」
「ニャー! オイラも! 実はオイラも明日誕生日だったニャー! 今思い出したニャ!」
「じゃあオイラもですニャー!」
「お前ら感動をぶち壊しすぎだ!」


まぁ何はともあれ、今日ポッケ村に、新しい住人が一人増えたのだった。


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