赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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22-2:雷霆の子(中編)

お待っとさんです。続きです。
どぞー。




「トトルとコタローはとにかくお湯を沸かすのニャー! 旦那さんとあー君は炊けた御飯を冷まして順次握り飯にして下さいニャー!」
「だからあー君じゃねぇ! この猫が!」
「ほら今はいいからとにかく団扇で扇いで飯を冷ませあー君!」
「っがあああぁぁ! あー君言うなテメェらあああぁぁぁ!」
「何だか緊迫感無いわねぇ・・・アンナは大仕事してるってのに・・・。」
「まぁ心配するのはコウライの役ってことで・・・。」
「ま、それもそうかしらねー・・・っと、こっちは龍肉の窯焼き上がったわよー!」
「こっちに回してくださいニャー! そいで次は・・・」
「こっちもお湯沸いたぞ。」
「まだ沸かすのかー?」
皆が一斉に動き回っている中、当のコウライはソファーで横になってぐったりとしている。
「み、皆すまない・・・私も何かっ・・・! いっ、いぐっ!!」
「あーあーほら、無理しないで今は休んで・・・。」
「す、すまない・・・。」

あれからコウライや村長、村医者の先生を呼んできて、家の中は一気に出産の準備へ動き出した。
コウライはアンナの傍に付いて励ます予定だったのだが、アンナのお産が始まった途端、いきなり腹痛を訴えてこんな状態だ。

「しっかし不思議なもんだよなぁ・・・奥さんの陣痛が始まったら、旦那の方まで痛がるなんて。あれか? しにくろにしちーとか言うやつか?」
「あー君、シンクロニシティだよ・・・。まぁそれに近いやつかな。クパード症候群って言って、旦那さんにまで陣痛が移るそうだよ。そう珍しい現象でもないんだって。」
「へー、キーツさんは物知りだなぁ。」
「私も本で読んだことがあるだけで、実際に見るのは初めてですけどね・・・。何でも、旦那さんの痛みが深いほど、逆に奥さんは楽になるんだそうですよ。」
「つま、り・・・私が、アンナの痛みを、肩代わりする、わけか・・・ぎっ!?」
股間を押さえて悶え始めるコウライに、俺は思わず駆け寄る。
「ちょ、大丈夫か!?」
「ま、股がっ・・・! 股が裂けたみたいな痛みが・・・っ!」
「・・・やだちょっと、もしかしてもう破水したんじゃないの?」
「いや、もう頭だけでも出てきたのかも・・・。」
「え? え? いくらなんでも早過ぎないか?」
「ぜぇぜぇ・・・はっあぁ! うぅっ!」
「コウライ! しっかり!」
コウライの顔色はどんどん真っ青になってきて、いよいよ峠に来ているというのが一目で分かる。
「ど、どうしよう・・・? これほっといても大丈夫なのか?」
「奥さんのお産が済んだら、痛みは同時に引くはずなんですが・・・。」
「ユーライアっ・・・! いいんだ・・・私がアンナの痛みをっ、代われるなら・・・! ぐっくぅ!」
「えーとえーと・・・! あ、ほら! 呼吸呼吸! ヒッヒッフー! ヒッヒッフー!」
「ユーリ落ち着いて! あぁでもこれじゃ本当、どっちがお産してるのかわかんないわね・・・! トトル! お湯少し分けて! あとタオル!」
「わ、わかった!」
やはりこういう時の女性は、何よりも頼りになる。
ラジーはてきぱきと指示を飛ばし、コウライの汗を拭いたり、服を寛げて少しでも楽になるようにと、積極的に動き回る。
「ほらしっかりなさい! 今コウライさんが気絶したら、痛みは全部アンナの方に行っちゃうわよ!」
「ぐぅっ・・・わ、わかっている・・・!」
しかし数分も経った頃、急にコウライの顔色が回復した。
ってことは・・・もしかして・・・
「こ、コウライ・・・?」
「痛みが・・・無くなった・・・。」
「じゃあ・・・!?」
キーツさんは、痛みはお産が終わると同時に引くと言っていた。
それはつまり・・・

そこまで考えた時、世界が揺れた。

「うおっ!?」
「ニャー!?」
「ひゃあ!?」
鍋や料理はひっくり返り、床に散乱する。
目がちかちかして、耳も良く聞こえない。
だがしばらくすると、だんだん視覚も聴覚も回復してきた。
「おーい・・・皆無事か・・・?」
「な、何とか・・・」
「ニャー・・・」
「何が、起きたんだ・・・?」
いきなり大きな揺れが襲ってきて、それから閃光と大きな音が・・・。
地震・・・? いや、雷?
「・・・アンナ! アンナは無事なのか!?」
今の今まで寝込んでいたとは思えない素早さで、コウライはアンナの元に走っていった。
俺もどうにか立ち上がり、ふらふらと覚束ない足取りながらも後に続く。
「アンナ!」
「あらコウライ、どうしたのそんなに慌てて?」
「・・・無事、なのか?」
「ふふ、大丈夫よ。ちょっと大きな産声で驚いたけど。 それよりほら」

「可愛いでしょう? 女の子ですって。」


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