FC2ブログ

赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

16-2:春の来訪者(中編)

とりあえず続きです。
どぞー。



二人の新しいハンターが来る数日前、俺はアンナに釘をさされていた。
「今更言う事でもないですけど、トトルさん達がモンスターだってことはなるべく秘密にして下さいね。そもそも『緊急変異体処置計画』自体、一応極秘事項なんですから。」
「え・・・でも本当に今更じゃ・・・。トトルやガランなんて尻尾や羽をもろに出して普通に生活してるし・・・。」
「ポッケ村は昔から色んな人種が行き来してますから、別段皆さん気にしないんでしょうね。多分ここのギルドマスターさんみたいに、竜人とかのそういう種族なんだと思ってるんでしょう。」
「あぁ・・・まぁ皆大らかと言うか、のん気だから・・・。」
「ですけど、外から来る方がそうとは限りません。下手したら噂が広まって、無用な混乱を起こす可能性もあります。ですから、新しい方々が信用できる人達だと判断するまで、なるべく計画や変異体の事は伏せて下さい。」
「信用できる、ってどういう・・・?」
「それはつまりですね」


ギルドもしくは書士隊からの、査察の可能性がある。


アンナはそう言っていた。
確かにお偉いさん方からすれば、この計画はかなり細心の注意を払うものだろうから、それは充分に有り得る話だ。
だとすれば・・・もうアーヴィンはトトルのことに気付いてる?
一応、トトルには耳と尾を隠せるような防具を着せてはあるが・・・。
そして、トトルはトトルで妙に勘の鋭い所があるから、アーヴィンから不穏な空気を感じ取ったのだろうか?
となると、この二人が査察に派遣された人間だっていう可能性がますます濃く・・・
「あの・・・ユーライアさん?」
「ふへぇ!? な、あんでしょうか!? キーツさん!?」
考えていた所に声をかけられ、思わず奇声で答えてしまう。
キーツさんは逆にこっちが驚いた、と言わんばかりの顔だ。
「いえ、やはり改めて謝っておきたくて・・・。アーヴィン君は・・・まぁ普段からややわがま・・・傍若無じ・・・マイペースなところがあるんですが、今日は何だか妙に不機嫌で・・・。」
キーツさんお願いですから胃の辺りを抑えながら謝らないで下さい。
むしろこっちの罪悪感がすごいです。
「い、いやいや、こっちこそすいません。うちのトトルもそういう所があるので・・・あ、それに、ユーリでいいですよ。いちいち長ったらしい名前で呼ばなくても。」
「そ、そう言って頂けると、気が楽です・・・ありがとうございます。ユーリさん。」
・・・何だかこの人と話してると、査察云々の話がどうでもよくなってくるな・・・。
「・・・ん?」
ふと、視線を感じたのでアーヴィンの方を見ると、何だかすごい形相でこちらを睨んでいた。
「な、何? どうかしました?」
「・・・いや、何でもない。」
そう言ってまたそっぽを向いてしまう。
うーん・・・どうにも妙なんだよな・・・。
査察で来たのなら、怪しまれないようもう少しフレンドリーにするものだと思うんだが・・・。それにこの二人師弟だと言っていたが、キーツさんの持ってる武器は狩猟笛、アーヴィンのは太刀だ。いくら同じ近接武器だからって、ここまで系統の違う武器を扱う者同士で師弟になったりするだろうか・・・?
「・・・ユーリ、ちょっといいか?」
「え、どうした・・・っておい! ちょ!」
いきなり声をかけてきたと思ったら、トトルは俺の腕を掴んでずるずると引きずり、二人から距離を取る。
「な、なんだよいきなり!」
「ユーリ、あの二人、変だ。気をつけろ。」
声を潜めて言うトトルに、俺も小声で話す。
「・・・査察の人間てことか?」
「それはわからない・・・。けど、変だ。特にキーツが。」
「え? キーツさん? アーヴィンの方じゃなくて・・・?」
「あいつは別の意味で変だ。俺のこと睨んでると思ったら、さっきはユーリのこと睨んでた。」
どういうことだ・・・?
査察の人間なら、トトルの方に注意を向けそうなものだが・・・。
「あのー、お二人ともどうしたんですかー?」
「あ、いえー、次に回るコースの確認をしてるとこですー。」
不安げにこちらに問いかけてくるキーツさんに適当な誤魔化しを言って、俺はまた元の場所に戻る。
・・・まぁ、不安なのはこちらも同じだ。

それからそう時間も経たず、樹海には夜の帳が降り始めた。



スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://akatoraairu.blog36.fc2.com/tb.php/29-ad832edd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。