赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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15:感謝の宴

たまにはシリアスなものを・・・シリアスかこれ?
まぁどうぞ。




我が家の食卓は何時も騒がしいが、一番騒がしいのはその直前だ。
「炎熱マンゴーのステーキあがりましたニャー!」
「兜ガニのウマイ米リゾットはまだかニャー!?」
「あと五分ニャ! 誰かオーブンのスネークサーモン出してくれニャー!」
ニャーニャーうるさいが、当のキッチンアイルーたちは至って真剣である。
というか、別にレストランとかじゃないのだから、そんな慌てなくてもいいのだが・・・。
「お待ちどうニャー!」
そんなことを思っていると、奥のほうから、お盆を持ったトウマが出てきた。
そしてその後ろに、同じく料理を持ったアイルーたちが続く。
因みに言っておくと、今俺が雇ってるのはトウマも含めて5人。
その中で人の姿になってるのはトウマだけだが、以前と同じ様にキッチンのリーダーとして存分に腕を振るってくれている。
「トトルは炎熱マンゴーのステーキニャ! よく味わって食べ・・・ってこらまだ食べちゃダメだニャー!」
「まだ皆に配ってるんだから、待って欲しいニャー。はい旦那さんには兜ガニのリゾットだニャ。」
俺に料理を持ってきてくれたのは、トウマの次に経験豊富なポルポだ。
トウマよりも落ち着いた物腰で、キッチンではサブリーダー的な役割を負ってくれている。
「おぉ、うまそうだな。」
「ホントだニャー・・・旦那さんちょっと分けて欲しいニャー!」
「コタローの分はこっちだニャー! ほいスモークサーモンのオーブン焼き! 注文通りしっかり火を通しておいてやったニャ! ありがたく思うニャ!」
「ニャー! 流石コジロー分かってるニャー!」
コジローはコタローの弟で、ほぼ同時期に家にやってきた。
兄弟揃ってテンションが高いと言うか何と言うか・・・。
「なーなー、俺の分はー?」
「二人係で大変だったニャ。主に石を砕くのが。」
「オイラ達キッチンアイルーの底力を見るがいいニャ! 石と言う無茶な食材でも料理にする技術の結晶! エルトライト鉱石と千年蟹の甲羅の蒸し物!」
「おーすげー!」
甲羅の上に山盛りになったエルトライト鉱石に目を輝かせるガラン。
そしてそれを誇らしげに見る二人はジンジャーとオモチ。
特にオモチは創作料理の研究に余念がないから、ガランの食べる石料理は大体オモチの担当だ。
ジンジャーはこの5人の中で一番力持ちなので、よくオモチの調理実験に付き合わされている。
「それにしても、今日の夕食は随分豪勢だな。何かあったのか?」
「・・・やっぱり旦那さん気付いてなかったニャー。」
おい溜め息ついて「ふーやれやれ」みたいなポーズすんなそこ。
「ではここでゲストの登場ですニャー!」
「はーい、お邪魔しますこんばんはー。」
「・・・失礼する。」
「どもどもー。」
「こ~んば~んは~。」
「邪魔するぜぇ!」
「ほっほ、楽しくやっとるかい?」
「失礼するニャ。」
「べ、別に来たくて来たわけじゃないんだからね!」
「お邪魔しま~す。」
「多過ぎだろ! ゲスト多過ぎだろ!」
アンナ、コウライ、ラジー、ギルドマスターのお姉さん、武器工房のオヤジ、村長、ネコートさん、集会所でよく絡んでくる女ハンター、受付のお姉さん・・・その他続々部屋に入ってくる。
「ちょ、無理! 入らない! こんなに沢山入らない!」
「まぁまぁ、こんなおめでたい日にそんないやらしい台詞で出迎えられるなんて。」
「何言ってるんですかアンナさん!?」
「まぁ何はともあれ」

『ハッピーバースデー!!』

「・・・はい?」
ハッピーバースデー?
誕生日? 誰の?
「そりゃ、ユーリさんのですよ。」
・・・俺の?
あ、あーそういえば確か今日そうだったっけ・・・。
「とゆーわけで、我が家からのプレゼントです。どうぞ。」
「あ、あぁこりゃどうも・・・って妊婦が両脇に酒樽を抱えて持ってこないで下さい! 別の意味でびっくりというか心臓に悪いです!」
「くっ・・・やはりこのインパクトには負けるわね・・・! けどこっちだってユーリにぴったりのプレゼントよ!」
「え? 何なのラジー・・・キッ、キリンシリーズ(女性物)!?」
「こないだアンナと話し合って、やはりユーリにはこれが一番だと思ったの!」
「思うな!」
「あら~ちょっと被っちゃったかしら~・・・ギルド一同からはプライベートシリーズをトトルさんの強い要望で・・・。」
「トトルてめぇ!」
「大丈夫だユーリ! 俺からもちゃんとプレゼントはあるぞ!」
「そういうことじゃなくて・・・ってプライベートシリーズじゃねぇか!」
「お出かけ用と寝る時用だ!」
「意味が分からん!」
「俺からもあるぜー! この前紅蓮石欲しいって言ってたから採ってきた!」
「あ、それは素直に嬉しい・・・って熱! ガランいくつ採ってきたんだ!?」
「・・・30くらい?」
「さっきから部屋が暑いと思ったらそのせいか! ほら、早くアイテムボックスに仕舞いなさい!」
その後も皆から続々とプレゼントを渡され(しかし8割が女物の服っておかしいよ。この村おかしいよ。)、我が家の食卓はすぐさま宴会へと移行した。


「奥義! 猫お手玉!」
「ニャー!」
「ニャー!」
「ニャー!」
ガラン何時の間にそんな器用な技を・・・。
風で上下するアイルー達に、周りは拍手喝さいだ。
俺はそれを遠巻きに見ながら、水を呷る。
さっきから宴会の主役ってことでどんどん飲まされて、もうクタクタだ。
「ユーリ。」
「お、トトル?」
「さっき言い忘れた、誕生日おめでとう。」
「・・・おー。」
「ところで、誕生日って何なんだ?」
・・・まぁ、そんなことだろーとは思ったが。
「生まれた日のことだ。で、暦の上で一年が巡ってもう一度その日が来たら、祝うんだよ。」
「・・・なんで祝うんだ?」
「なんで、か・・・ん~・・・分かりやすく言えば、感謝する為だな。」
「感謝?」
「そ。生んでくれた親とか、周りの人とか。だって、生まれてなかったら、こうしてこの村に来て、ハンターやって、皆と会うこともなかったしな。」
「そうなのか・・・じゃあ、ありがとうユーリ。」
「おいおい、この場合、お礼を言うのは俺の方だぞ?」
トトルは軽くかぶりを振って、再び礼を言った。
「俺と出会ってくれて、ありがとう、ユーリ。」
「・・・トトル。」
「だから・・・。」
「だから?」
「今すぐこのプライベートシリーズを・・・ハ、ハァハァ・・・!」
「目ぇ真っ赤にしてメイド服持って来るな! 誰だトトルに飲ませたやつはぁ!? 俺の感動を返せ!」

こうして、俺にとっての新しい一年が始まった。
主にメイド服によって。


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