赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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13:蝙蝠の求愛

えーと、珍しくトトル視点の話です。多分。
あと素晴らしいネタを提供してくれた方に感謝。
そいじゃどうぞ。




何と言うか、どうにもユーリは、俺のつがいだという自覚が薄いように思う。
こないだなんて寒くて死にそうな中を連れ回され、雪まみれにされた。
普通つがいというものは、こういう時は身を寄せ合って寒さをしのぐものなのに・・・。
それとも人間のつがい・・・恋人というのはそういうものなのだろうか?
そういえば、恋人とは一体何をするものなのだろう・・・?
よし、早速知り合いの人間に恋人について聞いてみよう。



そして翌日、仕入れた情報を早速実践してみた。
「ん? 何してんだトトル? 玄関に陣取って・・・。」
「ゆ、ゆゆユーリを外にだ、出さないいい、た、為だ。」

証言1:ラジー
「恋人らしいこと? そうねぇ・・・オーソドックスなとこだと、なるべく一緒に過ごして、イチャイチャネチャネチャするとか?」

イチャイチャネチャネチャというのがよく分からなかったが、とりあえず一緒に過ごすには、ユーリを家の外に出す訳には行かない。寒さ的な意味で。
け、けど玄関でも寒い・・・うぅ、暖炉の前に行きたい・・・。
「・・・何でそんなことしとるのかは知らんが、別にそこに座り込まんでも、今日は出かける予定ないぞ? 雪かきは当分必要無いし、今日一日は装備品の点検をするつもりだし。」
「・・・え?」
「どうせだからトトルも一緒にやるか? そんなとこで座ってても寒いだろ?」
「う、うん・・・。」
暖かい暖炉の前に移って、ユーリは弓の、俺は双剣の手入れを始める。
・・・何だか無駄な労力を使った気がするが、とりあえず一緒に過ごすというのは成功だ。
しかしすぐに邪魔が入ってしまった。
「ニャー! 旦那さん! ガランがまた風でテーブルひっくり返して大変なことに!」
「やれやれまたか・・・あ、トトル、ちょっと行ってくるから、弓はこのままにしといてくれ。」
「え、あ・・・。」
ユーリは立ち上がってさっさと行ってしまった。
そうだ、この家は俺とユーリ以外にもアイルー達やガランが居るから、あまり一緒には過ごせないんだった・・・。しょうがない、ここは作戦変更だ。

証言2:ギルドマスターのお姉さん
「恋人らしい事~? やっぱり『もう縛り付けてでもキミを離さない!』ってくらいに抱き締めるとかじゃないかしら~?」

ユーリを縛り付けるのは嫌だけど、それが恋人らしいことなら仕方ない。
さっそくアイテムボックスをあさって、落とし穴用のネットを取り出す。
これは編み込んであるクモの巣のせいで、ちょっと触っただけでもべたべた貼り付いて剥がれなくなるから、縛り付けるには最適だ。
・・・あ、もしかしてラジーの言ってたイチャイチャネチャネチャってこのことだろうか? なるほどこれなら納得がいく。
けど何故これが恋人に必要なのだろう・・・? 人間はよくわからない。
まぁとにかくこれでユーリを・・・ん? あ、あれ? くっ付いて剥がれない・・・こ、ここがこんがらがってるから、こう・・・あ、あれ?
「ふー・・・全くガランのやつ、今度飯抜きにしてやる・・・おわっ!? ちょ、何してんだトトル!?」
「ゆ、ユーリ・・・助けてくれ・・・。」
「あーあー・・・体中にネットが絡み付いて・・・一体何してるんだよ本当に・・・。」
うぅ・・・まさか自分で自分を縛り付けてしまうとは・・・。
あ、でも、俺の方が縛られてるんだから・・・
「ユーリ」
「ん?」
「だ、抱き締めてくれないのか?」
「・・・何でだよ。あーもー、尻尾の毛にまで絡み付いてるじゃんか。これじゃ油で剥がすしかないな・・・風呂場行くぞ。」
呆れた顔でそれだけ言って、ユーリはネットの端を持って俺をずるずる引きずっていく。
・・・おかしいな・・・縛り付けた後抱き締めるのが恋人じゃないのか?
しかたない。もう一度作戦変更だ。

証言3:アンナ
「恋人らしい事、ですか・・・? やっぱり最後にモノを言うのは既成事実じゃないですかね? 私もさっさと子供を作って周りを黙らせましたし。」

この辺りは恋人でもつがいでも変わらないらしい。
これならすぐにでもできるし、今は風呂場で二人っきりだ。
このチャンスを逃すまいと、早速やろうと思ったのだが・・・
「こら、あんま動くな。ネットが取れないだろうが。」
「だ、だって・・・ひぃ、ん・・・んんっ!」
尻尾の根元にオイルレーズンの油を垂らされ、少しづつ剥がれていくネットの感触に、俺は体を震わせる。
最近ユーリが一緒に寝てくれないから、余計敏感に感じてしまうのだ。
「ユーリぃ・・・!」
「変な声出すな! ほらネットは取れたから、今度は油を洗い流すぞ。」
「っや、あぅ・・・」
柔らかいブラシで、毛の流れに沿うように丁寧に洗ってもらって、尻尾はすぐ綺麗になった。
だけど、散々弱い所をいじられて、俺はもう爆発寸前だ。
気付いたらユーリを風呂場の床に押し倒していた。
「ユーリぃ・・・お願いだ・・・もっ、我慢できない・・・!」
「っちょ、待て! お前今日変だぞ! だから待てってば!」
「うぁ!」
ユーリの脚が腰に絡みついたと思ったら、両足の裏で尻尾の根元を挟んできた。そしてそのままぐにぐにと刺激されて
「やっ、やだっ! これやだぁ! 尻尾、尻尾がぁ!」
「よーしよし、これ以上尻尾をいじられたくなかったら、ゆっくり離れるんだ・・・。」
「う、うぅ・・・。」
言われるままにユーリの体から離れ、その場に座り込む。
「全く・・・トトル、今日はどうしたんだ? 朝からおかしかったし・・・。」
「だ、だってユーリが全然恋人らしくないから・・・。」
「・・・はぁ?」
それから俺は、正直に集めた情報の事を話した。
「・・・あのなトトル、前にも言ったけど、人間の世界では雄同士じゃ普通恋人にならないし、第一モンスターと人間じゃもっと無理だ。」
「でも、アンナとコウライは恋人なんだろう?」
「う、それはそうなんだが・・・えーとだな、それに変異薬のこともまだよく分からないし、何時か元の姿に戻って樹海に帰るのなら、俺がそれに付いて行くわけにもいかないし・・・。」
「なら、帰らない。ずっとユーリの所に居る。」
ユーリの顔が、見る間に赤くなった。熱帯イチゴみたいだ。
「おま、どうしてそういうことを平気で言えるんだ・・・。」
「・・・ユーリは嫌なのか?」
「いやだから、嫌とかそういう問題じゃなくて・・・。」
「ユーリが嫌なら、帰る・・・一緒に居たいけど・・・帰る。」
「・・・っだーもう! こんな時ばっかりそういうしおらしい顔しやがって!」
いきなり腕を掴まれて引き寄せられたかと思うと、抱き締められていた。

「わかったよ! つがいにでも恋人にでもなってやる!」

「・・・ユーリ」
「・・・何だよ」
「ユーリ・・・ハァハァ・・・ユーリの匂い・・・。」
「こんな時に匂いを嗅ぐな!」
「だって最近全然嗅いでない・・・ユーリぃ・・・。」
「あ、そういや最近あんまり密着してこなかったな・・・っておいどこに頭突っ込んでんだ!? こらやめろ!」
「あう! あ・・・尻尾ぉ、尻尾ぐりぐりしないでぇ・・・はっ、はぁう」
「悦ぶな! 更に変態臭さが増してやがる・・・! っあ、ちょ、んんっ!」
それからは、時間をかけてたっぷりと、恋人らしく一緒に過ごした。
まだ人間のことはよく分からないけど、三人の言うとおりにしてユーリが恋人の自覚を持ってくれたのだから、多分これで間違ってはいないのだと思う。


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