赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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9-3:頂に座すもの(後編)

これで最後です。お疲れ様でした。




頬に冷たい雫を感じて、俺は目を開く。
最初に映ったのは、天井にも床にも連なっている氷柱だった。
「っつ~・・・何だったんだあの風・・・。」
上半身だけ起き上がってあたりを見回すと、どうやら避難していたのとは別の洞窟のようだ。
「しっかし・・・さっみいなぁってうお!?」
立とうとして足を滑らせ、思いっきり腰を打ち付けてしまう。
「あだだだ・・・何だこりゃ、凍ってん・・・んん!?」
そこで俺は初めて、自分が巨大な氷柱の上に乗っかっていると気付いた。
簡単に言えば、床に突き刺さった巨大な逆三角錐の底の所に乗っかっているわけだが・・・そりゃ氷の上じゃ滑りもするわ。
今度は滑らないよう、四つん這いで縁の方に近づいてみると、床から結構な高さがあるとわかった。
しかし・・・俺なんでこんな変なとこに居るんだ・・・?
あの時風に吹き飛ばされて、それから・・・
「お、起きたか?」
後ろから聞こえた声に、俺は振り向く。
銀色の髪と目、それに背中に生えた翼と尾。
顔立ちや体格だけ見ればまだ15、6といった感じの少年だが、翼や尾といった器官が、普通の人間では無いと告げている。
それに何より、普通の人間は風を纏って宙を飛んだりしない。
「クシャルダオラ・・・!」
「ふぅん、お前は驚かないんだな。」
否定しないってことは、どうやら当たりの様だ。
「似たような知り合いが結構多くてな・・・。」
軽口を叩きながらも、俺は逃げる算段を頭の中で組み始める。
トトルの時はあんな状態だったけど、見た所こいつには怪我や体力の消耗が無い。
となれば、いつ人間を襲ってもおかしくはない。
クシャルダオラの主食は鉱石だが、テリトリーに入ってきた人間を襲わないわけではないのだ。
「へぇ・・・ますます興味が沸いてきたぜ。」
「何・・・?」
興味・・・?
・・・もしかして
「まさか、お前が俺をここまで連れてきたのか?」
「ちと話を聞きたくってな。けど驚いたぜぇ、遠くから様子を見てたら、いきなり襲われてんだもんな・・・お邪魔しない方が良かったか?」
「いや、正直あれは助かった。礼を言う。」
なるほど、確かにあの不自然な吹雪もクシャルダオラのせいだってなら納得できる。そして、あそこでこいつが来なけりゃ今頃どうなってたか・・・考えるだけで・・・。
「あ、因みに連れてくる時、服がボロボロになっちまったから、適当に服もかっぱらって着せといてやったぜ。」
・・・はい?
お、おいまさか・・・!

はい。きっちり忍・天シリーズ着てます。女物の。

うわあああああ!
寒いはずだよ! 太腿これでもかって素肌だし!
耐寒スキルマイナスだし!
うぅ・・・意識したら余計寒くなってきた・・・。
「はっくし!」
「ん? 何だ寒いのか? 人間は不便だなぁ・・・。」
クシャルダオラはいきなり俺の横に来ると、体を小脇に抱えて飛び始めた。
「おわっ!?」
「暴れんな。落ちるぞ。」
巨大氷柱の下に降り立ち、今度は窪んだ形になっている床に下ろされる。
「ちょっと待っててくれよ・・・よっ!」
壁に空いてる穴に風を吹き込んでいるようだが・・・何をしてるんだ?
「そろそろ来るぞ。」
「来るって何が・・・ぶわっ!?」
何だかさっきから叫んでばかりだが、今度はその穴から水が溢れ出てきて、俺はそれをもろに被ってしまう。
・・・いや、これは水じゃなくて・・・
「温泉・・・?」
「そ。この下を水脈が流れてるらしくてな、それが更にその下の地熱で温められてるんだ。」
なるほど。つまり水脈に風圧を掛けて、水を押し上げたわけか。
「なぁ、そういえばこの洞窟って・・・」
「山の頂上近くの、俺の巣の一つだ。」
じゃあやっぱりまだ雪山のエリア内なのか・・・。
雪山は湯治場として有名なポッケ村に近いから、確かに温泉が湧いても変じゃない。
そんな事を考えている内に、お湯はどんどん溢れてきて、とうとう窪みいっぱいまで溜まった。
ちょっとした露天風呂が、瞬く間に出来上がってしまったのだ。
・・・どんだけ風圧かけたんだこいつ。
「俺も時々ここ使うんだ。この姿になってからどうも勝手が違うもんでな。」
クシャルダオラまで勢い良く入ってきて、何故か俺は古龍と一緒に風呂に入るという、とんでもなく珍しい体験をするハメになってしまった。
しかも俺まだ忍・天着たままだよ。
「・・・それで、俺に何か聞きたい事があるんじゃないのか?」
正直さっきから珍しい体験の連続で動揺しっぱなしなのだが、表面上は努めて冷静に問うてみる。
「そりゃ決まってる。俺をこんな姿にした原因だ。どうせお前ら人間がまた妙な真似をしたんだろ?」
鋭い目つきで逆に問い返され、俺は答えに詰まる。
どうしたものか・・・ここで本当の事を言えば、その場で用済みはいさようなら、というのも充分有り得る。だが逆に嘘八百並べ立てても、見抜かれればそこで終わりだ。
・・・だったら、腹を据えて話してしまった方が幾部気分が楽だ。


全て話し終えて、クシャルダオラはまだ信用できないような顔だったが、静かに口を開いた。
「つまり・・・お前にもまだ詳しい事は分からないんだな?」
「ま、一言で言っちまえばそういうこった。・・・期待に添えなくて悪かったな。」
「いや、そうでもないぜ。」
にっ、と歯を出してクシャルダオラは笑う。
「俄然興味が沸いてきた。人になっちまったナルガクルガやキリンにもだが、何よりお前に。」
「・・・はい?」
「お前、名前は?」
「ユ、ユーリ・・・。」
「ユーリか。俺はガランだ。」
何故かいきなり自己紹介に入るガランに、俺は本気で混乱する。
あ、あれ・・・? 今までの緊迫ムードは・・・?
「さてそいじゃお互いの名前も分かった所で・・・」
「ちょっ、何で服を脱がしにかかる!?」
「ん? 人間はこうやって仲良くなるんじゃねぇの?」
「間違ってないけど違う! 特に同性間では!」
「うん・・・? つまり服は着たままってことか?」
「そっちじゃない!」
ああああ! 服が! 服が肌に張り付いて上手く動けない・・・!
そうこうしてる内に、袷からガランの手が滑り込んできて、胸を撫で回してきた。
こ、これは本当にやばい・・・!
「だから待て! 大体なんでいきなり仲良くなろうとか・・・っ!」
「俺もこんな山に篭ってるよりは、お前の近くに居た方が情報が早く入りそうだしな。だから俺もお前のとこに邪魔しようかと。」
「はぁ!?」
「で、だ。一緒に居るなら仲良くしといた方がいいだろ?」
「何でそうなるんだよっ、あ!」
後ろの方に指と一緒にお湯が! 指とお湯が!
「ふぅん・・・人間の服ってよくわかんねぇけど、こうしてみるとエロいな・・・。ぺったり張り付いてるぜ・・・?」
「うるさっ、い・・・! いい加減・・・っふぅ」
胸の突起を指で転がされ、思わず息が漏れる。
それに気をよくしたのか、ガランは執拗にそこをいじってきた。
「分かった。服じゃなくて、ユーリがエロいんだな・・・ほらここ動いてる。」
「いっ、あ! も、抜けよっ・・・ぉ」
「じゃ、もっと太いの入れてやるな。」
「あっぐ、う、ううぅ!」
押し入ってきたものの大きさに、息が詰まる。
「・・・っすっげ、キツイ」
「うあっ! う、動くなっ」
「なぁ人間ていつもこんなことやってんの? さっきもユーリ襲われかけてたし・・・。」
「ちが、違うっ、あれはあぁう」
「はっ、クラクラ、してきた・・・俺、もっ」
「ん! んんっ!」
奥の方に吐き出されたものの熱さに、俺は身を震わせる。
更にガランは俺の上に覆い被さり、腕を回して密着してきた。
ま、まさか
「もっかい、いい? 我慢できそうにない・・・っ!」
「ま、待って、休ませ、あう!」

結局、もう一回もう一回と延び続け、俺が解放されたのは日が暮れてからだった。


それからガランに抱えられて家に辿り着くと、俺を心配して中で待っていた皆が飛び出てきた。
アイルー達は泣いて抱きついてくるし、コウライは無言で薬を押し付けてきた。アンナはお腹空いてませんか、と盛り沢山の握り飯を盆に載せて持ってきてくれた。
そして、アイルー達が持ち帰った雪山草で元気になったトトルは
「えー・・・つーわけで、今日から世話になるガランです。よろし」
空気を読まず自己紹介を始めたガランの横面を尻尾で思い切り張り倒した。
・・・どうやら、俺の体に付いた匂いで何があったのか分かってしまったらしい。
「ユーリ! ユーリ・・・!」
トトルは俺のことを力いっぱい抱き締め、ガランから守る様に位置を取る。
「ってぇな! 何すんだこの野郎!」
「ユーリに近寄るな!」
「あ゛ぁ!? 上等だゴルアああぁぁ!」

そこからは風が吹き荒れるわ棘が飛び回るわで辺りは凄まじい惨状になった。
だが、結局最後にはアンナがボウガンの柄で二人の頭をぶっ叩いて強制終了となったのだった。
うわ妊婦強い。


そしてそれからというもの、我が家では今日もアホな騒ぎが繰り返されている。
「ユーリ! 俺も一緒に風呂入って欲しい!」
「一人で入れ!」
「ユーリ! 今日は俺と一緒に寝るんだよな!?」
「それ以前に何でまだ忍・天持ってるんだお前は!?」


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