赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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9-2:頂に座すもの(中編)

まだもう一回ありますが、とりあえず続きどうぞー。




村長さんに事情を説明して雪山草摘みの依頼を受け、そのまま雪山に赴き、到着したのは昼手前くらいだった。
「旦那さーん! こっちにもあったニャー!」
「おー、ご苦労さん。」
両手に雪山草を目一杯抱えて走ってきたコタローの頭を、雪を払うついでにぐりぐりと撫で回してやる。
「ニャーン・・・だ、旦那さんそんな激しくされたらオイラ・・・!」
「しとらんしとらん。」
「ノリが悪いニャ旦那さん!」
八重歯を見せながらコロコロ笑うコタローに、たまにはこういうのも息抜きとして悪くないかな、と思う。
・・・最近どうにも妙な事件が立て込んでたしな。
「旦那さん、そろそろ雪山草も集まってきたし、下山しましょうニャ。」
「お、そうだな。雪も何だか激しくなってきたし・・・うわっ!」
トウマの提案通り山を下りようと振り向いた瞬間、凄まじい突風が吹き抜けた。
その突風を皮切りに、辺り一体が猛烈に吹雪いてきた。
「・・・コタローっ! トウマっ! 下山は無理だ! 一旦避難するぞ!」
「了解ニャー!」
「旦那さん! あそこに洞窟がありますニャ!」
ともすれば白一色になる視界を一歩づつ進んで、俺達は洞窟へと辿り着いた。
洞窟の入り口は狭かったが、内部は結構広い。これなら吹雪をやり過ごせそうだ。
しかも幸いな事に、洞窟の奥には救命袋があった。
救命袋はギルドがこういう時の為に狩場の所々に置いているもので、医薬品や毛布に食料、それに火種と燃料まで入っているという優れものだ。ただ大抵の救命袋はモンスターにいじられてボロボロになっている事が多いので、通常の狩りではまず忘れられている存在だ。
だがこの救命袋はほぼ無傷で、中身もまだ充分使えそうだった。
とりあえず火を熾し、三人で毛布を被って固まり暖をとる。
しかしこれじゃ何だか・・・
「家で寝てるトトルとあんま変わんねぇな・・・。」
「旦那さん! こういう時くらいトトルのこと忘れるニャ!」
「そうですニャ! こっちはあの蝙蝠の為に遭難してるのに!」
いきなり怒り出した二人に、俺は面食らってしまう。
「いや、別にそこまで怒らんでも・・・それに、前から思ってたんだけど・・・お前らトトルのこと嫌いなのか?」
「ニャー!? 旦那さん今更何言ってるニャ!?」
「あいつは敵ですニャ! 二重の意味で!」
に、二重の意味で・・・?
「故郷で襲われたのもそうだけど、こっちに来てからもずっと旦那さんにべったりで!」
「あいつのせいでオイラ達旦那さんに近寄る事も出来なかったんですニャ!」
あー・・・まぁそれ狙いでトトルを家に置いてる面もあるしなぁ・・・。
って、ちょっと待て。それじゃ今の状況って・・・!?
「でも今なら邪魔も入らないニャー・・・。」
コタローの目が、肉食獣のそれに変わる。
「コタローが一緒ってのが気に食わないけど・・・背に腹は変えられないニャ・・・。」
トウマの手が、ゆっくりと俺の服にかかる。
「くっ・・・!」
だが俺だって黙ってやられるつもりは無い!
こういう時の為に用意しておいた取って置きを・・・!
・・・あ、あれ?
「旦那さん、無駄な抵抗はやめた方がいいですニャ。」
そう言ってトウマが広げた手の中に、俺の懐から無くなっていたマタタビの粉末が・・・!
「トウマお前・・・何時の間に・・・!?」
トウマはそれを洞窟の外に放り投げる。
粉末の入った袋は雪に紛れ、すぐに見えなくなった。
ああああ! お、俺の最後の砦が!!
「旦那さん・・・覚悟するニャ! コタロー!」
「分かってるニャ! 奥義!」
『モフモフ乱舞!』
「う、うわあああああああ!」


「はっ・・・はぁ・・・あ、ぁ・・・も、モフモフぅ・・・」
「ふふふ、これで旦那さんはオイラ達の虜ニャ・・・!」
「さぁ、大人しくこの忍・天シリーズを着るのニャ!」
くそっ・・・まさかこいつらにこんな反則技があるなんて・・・っ!
だ、だめだ・・・モフモフされすぎて力が・・・!
つーか忍・天シリーズって、そんなの俺だって見たこと無いのに、こいつら何時の間に・・・!?
「このピチピチミニスカートから除く旦那さんの生脚が・・・! 想像しただけでたまらんニャー!」
純白の布地に紅色の桜が鮮やかに映える衣装は、こんな状況でなければきっと俺の目にも美しく見えただろう。
だがこのままでは、本当に着せられてしまう・・・!
「大人しくしてればすぐ終わ・・・ニャー!?」
「うわっ!?」
トウマがにじり寄ってきた途端、吹雪きはじめた時のような、あの突風がいきなり洞窟の入り口から吹き込んできた。
火は吹き消され、雪と風が洞窟の中でうねり狂う。
目も開けていられないほどの強風に、俺は両腕で顔を覆う。
そしてほんの一瞬、風が弱まった時に銀色に瞬く翼の様な物が見えたが、そこで俺の意識は途切れてしまった。


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