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赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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9-1:頂に座すもの(前編)

また無駄に長いやつですよ。気長にお付き合い下さい。
どうぞー。




季節がそろそろ冬へ移ろうかと言うのに、我が家は相変らず慌しかった。
「旦那さん! 今日こそこのヒーラーUを・・・!」
「誰が着るかあああああ!」
「ニャー! そうだニャ、旦那さんにはこのヒプノシリーズの方が」
「んなサンバみたいな防具は防具じゃねぇ!」
ただ普段と違うのは、この馬鹿騒ぎにトトルが交じってこないことだろうか。
ナルガクルガは暖かい所に生息しているせいか、寒さに弱いらしく、最近のトトルは暖炉の前で毛布を被って丸くなってばかりだ。
「おいおい・・・大丈夫なのか?」
「んー・・・眠い・・・すごく・・・。」
夢現の表情でそれだけ答え、トトルはまた寝入ってしまう。
朝も昼も無く眠り続けるものだから、流石に心配になってくる。
アンナにも聞いてみたが、ナルガクルガに冬眠の習性は無いので、ただ単に寒いのと環境の変化で溜まった疲れが出ているのではないか、とのことだった。
「ニャー! 旦那さんまたトトルのことばっか構ってるニャー!」
「あのな・・・しょうがないだろ、トトルはお前らとは色んな点で違うんだし、下手したら薬が切れていきなり元に戻っちまう事だって有り得るんだぞ?」
そう。今俺にとって一番の心配の種はそこだった。
一応ギルドからの告知は無いとは言え、トトルの様子を見るのもハンターとしての仕事の一部になったのだ。
ネコバァの秘薬・・・「変異薬」の正体が今ひとつはっきりしない現状では、あまりトトルから目を離せない。体調が芳しくない今では尚更だ。最悪の事態として、いきなり俺の家からナルガクルガが飛び出してくる、なんてことだって有り得る。
「う、うぅ・・・! だからってオイラたちのことずっと放ってばっかりでひどいニャー!」
「そ、そうは言ってもな・・・。」
コタローお得意の小動物視線に、俺の心がぐらぐら揺れる。
「旦那さん旦那さん、オイラに提案があるニャ。」
「トウマ? 提案てなんだ?」
「ずばり、雪山草ですニャ!」
雪山草・・・?
確か、ポッケ村に来た時最初に摘みに行ったあれだよな・・・?
何でもトウマが言うには、雪山草は薬草として高い効能があるらしく、トトルの疲労回復にもいいのではないか、との事だった。
「けど・・・トトルを一人にするのは・・・。」
「こういう時こそお隣さんを頼ればいいのニャ。アンナさんならきっと引き受けてくれるニャ!」
そんな上手く行くかなぁ・・・。
「え? 薬草を取ってくる間にトトルさんを看ててくれって? えぇ大丈夫ですよ。」
ダメ元で頼んでみたらOKでした。
しかしいいのかな結構重要な案件なのに、こんな玄関先で軽々しく話しちゃって・・・。というか
「アンナ! わ、私が悪かった! だから離し」
「ふふ。いやだわコウライ。その口振りじゃまるで私があなたの角をへし折ろうとしているみたいじゃない。」
「ああああああ! や、やめっ、みしみし言ってる! みしみし言ってるうううう!」
玄関先にご主人の角を握ったまま出てこられるとこっちとしてもリアクションに困るのですが。
「え、えと、それじゃよろしくお願いします・・・。じゃ!」
「いってらっしゃーい。」
「たっ、助けっ、頼むユーライア! 助けっひぎいぃ」
何だか嫌な声が聞こえた気がするが、あれも夫婦生活の一環なのだろうと無理矢理結論付け、俺はアイルー二匹と雪山へと出発した。


まさかこのある意味不穏すぎる出発が、あんな結果に辿り着くとは・・・。



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