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赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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72:見える事の無い温かさ

何なのこの寒さ。馬鹿なの? 死ぬの?
ってくらい昨日一日がアホみたいに冷え込んだので何かそんなネタ。
まぁどうぞ。




「・・・も、もうダメだ・・・このままでは・・・死ぬ・・・!」
「に、にー・・・」
「んな大袈裟な・・・って訳でもないか。今日いやに寒いもんな・・・」
一緒になって毛布に身を包み、暖炉の前でがたがた震えているトトルとククルを前に、俺は溜め息をつく。
ちらと目をやった雨戸もがたがたその身を鳴らし、外の猛吹雪を伝えている。
いくらポッケ村の家屋が雪と寒さに強いとは言え、そろそろ限界かもしれない。
朝から暖炉を燃やし続けているが、この寒さにはあまり効いていないようだ。その上日が落ちてから更に寒さは酷くなってきている。
・・・もしかしたら今年一番の寒さかもしれない。
「ユーリ・・・これが最後になるかもしれないから、聞いて欲しい・・・ユーリがつがいで、俺は本当に幸せだった・・・!」
「いやいやいやそこまでいくと流石に大袈裟だろ!」
「し、しかしだな・・・本当に寒すぎて死にそうなんだ・・・!」
「ククルも・・・寒くて尻尾がちぎれそう・・・」
「よく分からんが・・・そんなに寒いなら風呂に入ってきたらどうだ? ちょっとは温まるだろ」
ポッケ村は一年を通して温泉が湧き出ているので、風呂に使う湯には困らない。
むしろ温泉があるからこそ、ここまで寒い地域でも村が築けるのだろう。(村長さんが言うには、そんな地域でも比較的暖かい場所にポッケ村を作ったらしいが)
「風呂は勿論試した・・・というかもう3回入った」
「そんなに!?」
「一時的には温まるんだが・・・冷めてくると余計に冷えて・・・」
「にー・・・」
「そこまで分かってて何で3回入るんだよ・・・しょうがないな、トウマに頼んで何か体が温まるものを作ってもらうか」



「お待たせしましたニャー! ブレスワインで作った特製ホットワインですニャ!」
「ありがとうなトウマ。ほら」
「ありがとう・・・ん、甘くて美味い・・・」
「雪山草のエキスとハチミツ、あと体が温まるように少しトウガラシも入ってるニャ。ハチミツの甘さで辛味は抑えてあるから大丈夫ニャ!」
「ククルはー?」
「ククルにはまだお酒は早いニャ! 代わりにネンチャクリームのホットミルクセーキ作って来てあげたから、これで我慢するニャ」
「ほんと!? ミルクセーキ好きー!」
「あぁこら熱いんだからそんな急いで飲むなって。ベタベタするから、あとでちゃんと歯を磨けよ?」
「わかった!」
さっきまで寒くて泣きそうだった顔が、もう笑顔になっている。
うーん、子供の切り替えの速さは目を見張るものがあるなぁ・・・。
「どうだ? 少しは温かくなったか?」
「うん!」
「あぁ・・・大分温まってきた・・・」
「よし・・・じゃあまた冷えない内に寝るとするか」
幸いにも、寒さに強い上に騒がしいガランとラスの二人は、今日は他所に泊まりに行っている。静かに寝るにはうってつけだ。
因みにラスはすーさんと反省会という名を借りた飲み会、ガランは管理人さんのとこへ鎧玉の作り方を教わりに行っている。
・・・ラスはともかく、管理人さんに何も無いといいが。
「ユーリ! 今日はユーリと一緒に寝る!」
「そうだなー、寒いし一緒に寝るか。あ、でも俺の部屋暖炉が無いから寒いかもしれないぞ?」
「暖炉よりユーリの方があったかい!」
「ははは、そっかそっか」
「な、なら俺も!」
「ニャー! ずるいニャー! オイラも! オイラも!」
「いやそんなにベッドに入らないから」



「・・・で、結局こうなるわけか」
その後誰が一緒に寝るか決着が着く筈もなく、こうして暖炉がある居間の床にマットとシーツを敷いて、その上で皆が雑魚寝することになった。
「えへへー・・・暖炉もユーリも温かい!」
「まぁ確かに皆で集まった方が温かいし、ちょうどいいか」
「ほらほらククル、もふもふーもふもふーニャー!」
「わぁいもふもふー!」
「こらこら、あんまり暴れるなよー」
「はぁーい・・・あ、ユーリ! こないだの本読んで!」
「本? あぁ、キーツさんとこから借りてきたやつな。取って来るから待ってろ」
「わぁーい!」
それからしばらく、本を読み聞かせたり話している内に、ククルが眠り、トウマが眠り、コタローも眠り始めた。
「んにゃー・・・サシミウオがいっぱい・・・」
「にぅー・・・んー・・・」
「やれやれ・・・ふぁ・・・」
これで俺もゆっくり寝れるかな・・・。
「ユーリ・・・まだ起きてるか?」
「んー・・・? どしたトトル?」
「いや・・・大した事じゃないんだ。ただ・・・」
「ただ?」
「不思議なんだ・・・さっきまであんなに寒かったのに、今はとても温かい」
「・・・ワイン飲んだからじゃないのか?」
「それもあるかもしれないが・・・それだけじゃない気もする」
「それじゃあ・・・それ以外のものが温かいんだろう・・・例えば・・・」
あ、やば・・・もう寝そう・・・。
「例えば?」
「・・・」
「ユーリ・・・? 寝てしまったのか? ・・・おやすみ、ユーリ」



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