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赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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66:犬牙相臨なれども

犬牙相臨=犬牙相制とも言う。主に国境などが犬の歯の噛み合せのように入り組んでいて、互いに牽制しあっているさま。
生きる事は闘いだってどっかの偉い人が言ってた!
まぁそんな感じでどうぞ。



「で、話ってのは何なんだ?」
「・・・」
「おーい、黙ってちゃ分からんぞ?」
「うっせ、言い難いから今ちょっと考えてんだ!」
砂漠から戻って数日、そろそろあの暑さが恋しいかなーなどと思っていた折、珍しくアーヴィンが一人で家に訪ねてきた。
しかも、俺と二人きりで話したいと言う。
えらく真剣な顔で頼んでくるので嫌とも言えず、こうして人払いした俺の部屋で向き合っているのだが・・・。
「その・・・な・・・こないだキーツの奴と狩りに行ったんだ。リオレウスの」
「ほー・・・」
イャンクックで四苦八苦してた頃から少しは前進した訳か。
・・・ん?
「キーツさんが? リオレウスを?」
「あぁ・・・」
「あー・・・」
何となく、アーヴィンの言いたいことが分かった気がする。
「なぁ、トトルやガランも、同じモンスターと戦ったりするのか?」
「まぁ偶には・・・けどあんまり抵抗を感じてるとか、そういう様子は無いな」
というかそもそも、抵抗があったらハンターにならないよな・・・。
「キーツもさ、全然容赦や躊躇が無かったんだ・・・狩りの後もいつも通りのほほんとしてて・・・」
アーヴィンは俯いて、じっと床を見つめる。
きっと、どうにも割り切れないんだろう。
アーヴィンは良くも悪くもお坊ちゃんだから、未だ命の遣り取りに抵抗があるのだと思う。しかしハンターを続けるのなら、こういった問題は避けて通れない。
「あいつらは人間以上に、命に関してはシビアな感覚なんだろうな。生きる為に他の誰かを殺すのは・・・きっと日常だったんだろう」
「・・・っけど! キーツにとっては同族なのに・・・!」
「同族だから・・・って言った方がいいかもな。大型モンスターのような生き物になると、同じ縄張りには自分と家族以外の同族は共存できない。必要な糧の量が、どう考えても足りないからな」
そして、糧が足りなくなれば、家族も食べてしまう。
『つがいは何も食べるものが無かったら、相手を食べるものだ』
トトルの言葉を思い出し、俺は何ともいえない気分になる。
人としての道徳から言えば、自らの伴侶を食べるなんて、とんでもないことだ。
けど、自然界の生き物としての生存戦略では、きっとトトルが正しい。
雄が糧となり、残った雌が子供たちを守り育て、命を繋ぐ。
確かに無駄も無く、生存確率も高いやり方だ。
だけど、それでも。
「命は、重いからな」
「・・・」
「キーツさんにとって、アーヴィンは家族だ。そしてそのリオレウスもきっと、自分や家族を守る為戦った。お互いに守りたい命があるから・・・戦うんだろう」
「・・・相手を、殺してでも?」
「命は重い。どちらの命も。軽いとか重いとかの違いは無い。ただどちらも、重い。それだけだ」
それが俺なりの、避けられぬ問いへの答でもある。
「・・・」
アーヴィンはまた黙り込んで、じっと俯いてしまった。
「ま、あんまり深く考え込んでも仕方ないぞ。ハンターはあくまでハンターでしかないからな」
「うっ、うっせぇな! 今色々考えてんだよ!」
「おー悩め悩め、若人は悩むのが仕事だ」
「・・・年寄り臭ぇな。ユーリ、お前ククルが来てから老けたんじゃねぇの?」
「・・・うん、自分でもちょっと最近そう思い始めてる・・・」
何気に、家の中心がククルになりつつあるしなー・・・。
「でも・・・俺も何時か・・・」
「ん? 何か言ったか?」
「何でも! うっし、帰るわ。色々ありがとな」
「もういいのか?」
「ん、まぁとりあえずはな・・・キーツと話したいこともあるし」
「そっか」
まぁ幾分顔も楽な表情になってるし、アーヴィンなりに結論が出たんだろう。
「じゃキーツさんによろしく」
「あぁ・・・ん?」
部屋の戸に手をかけたところで、アーヴィンの動きが止まる。
「どうし・・・」
声をかけようとしたら、人差し指を口に持ってくる。
・・・戸の向こうに誰かいるのか?
俺も戸の近くにそっと近寄り、耳を澄ませる。
『ちょ、こら! 重いっての!』
『ならどけよ聞こえないじゃんか!』
『お前ら二人とも黙れ!』
『にー!』
『ニャニャ!? ダメニャククルしー! しーニャ!』
『あれ? でも何だか静かだニャ・・・』
・・・あいつら・・・。
「・・・ここは、一家の主様が登場すべきじゃないか?」
「・・・だな」
俺は胸一杯に空気を吸い込み、戸を開けるのと同時に盛大に「奴ら」を叱り飛ばした。


命は重い。
きっとそれは、こうした日々が積み重なっているからなのだろう。


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コメント

更新お疲れ様です
…大事な事ですね…仮にも命を奪う仕事ですからね

  • 2008/12/05(金) 21:34:16 |
  • URL |
  • kei #VigCwx8I
  • [ 編集 ]

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