赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

63:茜色の家路

偶には喧嘩することもあるよ家族だもの!
などといい話風にまとめてみる。
まぁどうぞ。




「あつつ・・・おもっくそ腹打たれた・・・」
涙目で腹を擦りながら、俺は家路を辿っていた。
今回はいい線まで行ったんだけどなー・・・結局は振り向きざまにラジーのハンマーで吹っ飛ばされてしまった。
けど毎日着実に進歩はしてるんだよな!
ラジーも「段々強くなってきてる」って言ってくれたし!
でもその割にはまだ触る事すら出来ないという・・・うぅ道は遠そうだ・・・。
そんなことを考えていると、ふと、白一色の景色の中に黒い点が映る。
んー・・・? ・・・岩の上にちょこんと座ってる・・・ありゃククルか?
雪で埋もれた周囲の中でも、何故かその岩だけは雪を纏っていない。
何でもすぐ下に温泉の水脈が湧いているらしく、その熱で常に岩肌が温かいんだそうだ。
だから寒いのがダメなククルがそこに居るのはまぁわかるんだが・・・珍しいな。外に出る時は大体他の誰かと一緒なのに、今日は一人だ。
それにそのままじっと動かないし・・・何かあったのか?
「ククル? おいどうしたんだ?」
何だか気になったので近くまで行ってみると、ククルの顔は目も鼻も頬も真っ赤で、要するに泣き腫らした顔だった。
「うっうっ・・・う゛うえぇえぇ~! らず~!」
「うおぁ!?」
俺が声をかけたせいなのか、ククルは声を上げて泣き、そして抱きついてくる。
そうなれば勿論、涙と鼻水まみれの顔が、べちゃりとくっつく訳で・・・。
せ、折角ラジーに作ってもらった服が・・・!
「ククルテメェこの・・・!」
思わず引き剥がそうとするが、ククルの涙に濡れた目と視線が合ってしまう。
そ、そんな目で見られたら・・・っ!
「あーもう・・・泣け泣け・・・気が済むまで泣け・・・」
「うっう・・・ひっくぅ・・・えっぐ・・・」


しばらく泣かせ続け、やっと落ち着いたところで俺はククルに聞いてみた。
「で、何でこんなとこで泣いてたんだ?」
「・・・ユーリと喧嘩した」
何でもククルの話では、こないだの料理の手伝いが楽しかったのでまた手伝おうとしたところ、今回は火も包丁も使うからダメだと言われたらしい。それでも手伝うと言い続けていたのだが、うっかり包丁を落としてしまい、それがユーリの逆鱗に触れ・・・。
「別に怪我してないから平気だって言った。けど、すごく怒られた・・・」
「そりゃ怒るわな・・・」
俺も昔よく危ない事やらかして、母ちゃんに叱られたっけなぁ・・・。
「でも・・・ククル、ユーリを手伝いたかった・・・喜んで欲しかった・・・」
その台詞は、きっとククルの本心なのだろう。
純粋に喜んで欲しくて手伝ったのに、上手く出来ない自分が不甲斐なくて情けなくて、悔しいんだろう。
「ユーリすごく怖かった・・・だから家から逃げて、でもどこに行ったらいいかわかんなくて・・・寒くて寒くて辛かった。けど前にここの岩は温かいって聞いたから、ここに来て・・・」
「で、今に至るわけか」
ククルは黙ってこくんと頷く。
ま、確かに子供の足じゃそんなに遠くには行けないよな。
「ラス・・・どうしたらいいんだろう? もう家には帰れないし・・・」
「そんな意地張ってないで、帰って謝ればいいだろ? ユーリだって許してくれるって。」
「無理。絶対、許してくれない・・・それくらい怒ってた・・・」
身を縮こめてトトルはがたがた震える。
うーん・・・これはよっぽどだったみたいだな・・・。
「じゃ、俺と一緒に家出しちまうか?」
「・・・いえで?」
「家を出てべつのとこに行くんだよ。まだ雪山になら俺の巣も残ってるし、二人くらいならどうにかやってけるだろ」
「・・・寒いのはやだ」
「じゃ砂漠にするか?」
「・・・砂漠は歩いてるだけで暑過ぎて死んじゃうってユーリが言ってた」
「んじゃ樹海はどうだ? お前の故郷だろ?」
「・・・いや」
不意にまた、ククルの目から涙が零れる。
「帰りたい・・・ユーリのとこに帰りたいよぉ・・・」
「・・・ったく、だから端からそうしろって言ってるだろ」
俺はククルの体を抱きかかえ、再び家路を辿る。
「帰ったらちゃんと謝れよ」
「・・・うん」
何時の間にかもう日も傾きかけ、道を埋める雪も茜色に染まりつつある。
その道の先、夕飯の支度中であろう煙をあげる我が家へと、俺たちはゆっくりと歩いていった。


スポンサーサイト

コメント

更新お疲れ様です
…いい話ですね…たまには家族でも喧嘩したりしますね…人であろうがモンスターであろうがそれは同じです

  • 2008/11/30(日) 11:56:09 |
  • URL |
  • kei #VigCwx8I
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://akatoraairu.blog36.fc2.com/tb.php/114-2fc7e116
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。