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赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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57:何時かの夢

夢を知って現実を知るというか。
自分でもよく分からないネタが浮かんだので書いてみました。
まぁどうぞ。




「ユーリ! いい加減起きろ!」
「・・・あ? あぁうん・・・。」
眠りから覚めてまず最初に聞いたのは、誰かの声。
聞き覚えの無い筈の声だったが、何故か俺は警戒もせずそれに従う。
そして言われるままに身を起こそうとするが・・・あれ何だか妙に体が重いというか、関節が軋むというか・・・。
「あたた・・・」
どうにか身を起こし、目を擦る。
そして声の主を見るが・・・
「・・・ト、トル?」
目の前に居たのは、何故か若くなっているトトルだった。
背も低くなってるし、顔もまだどこか幼い・・・いや、トトルとは微妙に顔立ちが違う・・・?
でも尻尾も耳もナルガクルガのものだし・・・うーん・・・?
「はぁ? 何寝惚けてんの! トトルだったら先にもう行っちゃったよ!」
「え? 行くって・・・どこに?」
「しっかりしてよユーリ! 今日は折角のハレの日なのに!」
「え・・・?」
言われてみれば、確かにこの目の前の若いトトル(本人が言うようには別人らしい)が着ているのは、ポッケ村で結婚式やお祝い事があった時に着る衣装だ。
・・・いや、より正確に言うと、確かこれ結婚式で新郎が着る服じゃ・・・?
「ほらほら! ユーリも早く着替えて! 新郎の父親がそれじゃ格好付かないよ!」
「あ、あぁうん・・・うん? 新郎? 父親・・・?」
えーと・・・新郎は多分この青年として、俺が父親?
そしてこの青年は多分ナルガクルガで・・・えぇっと・・・?
「・・・クク、ル?」
「ん? 何?」
この青年が、ククル?
あのまだちっこくてにーにーきーきー言ってたククル・・・!?
「だから何? 俺の顔何か付いてる? あ、それともどっか変かな?」
「いやいやいやどこがとかじゃなくて!」
何でいきなりそんなでっかくなって・・・!?
「変じゃないならいいや。それよりほら、ユーリも早く!」
「え、あ、あぁ・・・」
混乱しつつも祝い事用の衣装に着替え、姿見の前に立つ。
鏡に映った俺の顔は、皺が刻まれ、幾部細くなっていた。
心なしか、記憶の中の父の顔にそっくりだ。
だがククルがこの歳になってるなら自分もそうなんだろうと、何となく予想はしていたので、ククルの時ほどは驚かなかった。
「ほら皆待ってるんだから! もう行かないと!」
ククルに腕を引かれ、村の広場まで走る。
広場では盛大に饗宴が開かれ、皆が歌い踊り、飲み食いを楽しんでいる。
その間を、祝福のコールを受けながら進み、やがて中央の祭壇に出た。
そこにいたのは、花嫁衣裳のヴェールがよく似合う、プラチナブロンドの美女だった。
「コウラン! お待たせ!」
「コウラン!?」
あれが!?
と思わず声に出してしまいそうになるが、確かに言われてみれば、額には父親譲りの立派な角があった。
「ククル、遅い。」
「いやー・・・ユーリが寝惚けてて着替えさせるのに手間取って。」
「・・・でも、式の最中で花嫁を放り出すのはあんまり。」
「う・・・ごめん・・・。」
コウランは口ではそんなことを言っているが、喜びや幸せが今にも溢れそうな表情で、それはククルも一緒だった。
これってやっぱり・・・この二人が結婚するってことなんだよな・・・。
あのよちよち歩きだった二人が・・・結婚・・・。
目の前の現実についていけず、呆然としている俺の背後で、誰かの叫びが聞こえた。
「うおおおぉぉっ! コウラーンっ! お父さんをっ! お父さんを置いていかないでくれえええぇぇぇ!!」
「コウライったらうるさいわよー。」
「ぐごっ!?」
そして何か鈍い音も聞こえた。
・・・うん、間違いなく現実だこれ。
「ユーリ」
「あ・・・トトル」
何時の間にか横に来ていたトトルも、やはり俺と同じくいくらか歳をとっていた。
けど背丈はそのままで真っ直ぐだし、逆に貫禄と言うものすら感じる風貌だ。
「昨日は遅くまでククルの衣装を縫っていたんだろう? 大丈夫なのか?」
「あー・・・そういやそうだったっけ・・・」
ポッケ村では基本、花嫁の母が花嫁衣裳を、花婿の母が花婿衣装を縫う。
そして両家の父は村の家々を回り、式の招待状を配るのが通例だ。
うちは男手しか無いのでどうしようかと迷ったのだが、結局は裁縫が得意な俺が衣装を縫い、トトルが家を回った。
「ユーリ、少しいい?」
「ん? どしたコウラン?」
「その・・・怒ってない?」
「怒るって・・・何を? このめでたい日に。」
「そう・・・ありがとう。」
コウランは微笑み、お腹の部分を撫でる。


「よかった、おじいちゃんに嫌われずに済むね・・・。」


・・・は?
「・・・ククル?」
「分かってる。絶対に、二人を幸せにしてみせるから!」
ふた、り・・・?
いや、というか・・・



「出来ちゃった婚かよ!!!」



ぱちっ、と薪の爆ぜる音が部屋に響く。
気が付けば、俺は我が家の暖炉の前に居た。
そして横ではククルとトトルが気持ち良さそうに寝ている。
勿論、ククルは子供のままで、トトルは若くも老いてもいない。
つーことは・・・
「夢・・・夢か・・・」
そうだ、確かこの二人が暖炉の前で居眠りしてたから、風邪ひかないように毛布かけてやって、そしたら俺も何だか眠くなってきて横になって・・・
「しかし・・・なんつー妙にリアルな・・・」
そりゃ出来ちゃった婚だよな。
よく考えたら自然界のモンスターなんて皆出来ちゃった婚だし。
いやいやでも親として他人様の娘にそんなことするのを許すわけには・・・!
そこまで考えてふと、夢の中のククルの台詞を思い出す。
『新郎の父親がそれじゃ格好付かないよ!』
「父親・・・か・・・」
未だ眠るククルの頭を、起こさぬようにそっと撫でる。
ラスも言ってたけど、親子でも家族でもないのに、俺たちはこうして一緒に居る。
言ってしまえばそりゃ行き掛かりみたいなものだけど、それでも、こうして一緒に居る。
特に意味や理由が無くても・・・ずっと一緒に居れば、俺たちは家族になれるんだろうか?
「にぅー・・・」
「んー・・・」
そんな事を考えていると、二人が寝返りをうった。
そして二人同時に、毛布からはみ出た尻尾をぱたぱた動かし、毛布の中に引っ込める。その動きがあんまりそっくりで、俺は思わず噴き出してしまう。
「ぶっ・・・くっ、くっく・・・! はぁ・・・ったく・・・」
俺は毛布から出て、余った一人分の面積を二人に寄せてやる。
本当、この二人を見てると、そんなこと考えるのも馬鹿らしくなってくる。
「さって・・・そういやこないだククルが破いたズボン縫ってやらないとな・・・」
花婿衣装を縫う事になるかは分からないけど・・・今はとりあえず、親として面倒を見てやらないとな。



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コメント

更新並びに改装お疲れ様です
いつかこんな日が来るんでしょうね…小さいと思ったらいつの間にか成長して…気付けば大人になって…

  • 2008/11/18(火) 13:12:24 |
  • URL |
  • kei #VigCwx8I
  • [ 編集 ]

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