赤虎アイルー

某所で書き溜めたSSの保管庫

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56:雪降り積もる合戦場

何かまた6面ボス戦BGMみたいなタイトルだけどまぁ気にしない。
これもポッケ村の冬の風物詩だと言う事で。
そいじゃどうぞ。




「補充急げ!」
「にー・・・できた!」
「よっしゃこっち回せ! トトル!」
「あぁ!」
ポッケ村の冬は、恐ろしく過酷だ。
寒さも雪の量も勿論だが、一番過酷なのは
「げふっ!?」
「あぁ! あー君!」
「うっしあー君撃破だ!」
雪玉の直撃を受け、アーヴィンはその場に崩れ落ちる。
よしこれで残るはキーツさんだけだ!
「一気に仕留めるぞ! 続け!」
「おー!」
「わひゃあ!」


一番過酷なのは、雪合戦だったりする。


豪雪地帯であるポッケ村では、当然の事ながら雪に関する遊びが沢山ある。
しかしやはり一番人気は雪合戦だ。
降り続く雪の合間にある、ほんの数日だけの晴れの日。
その一日を丸々使い、ポッケ村では大々的な雪合戦が繰り広げられる。
その日は大人も子供も関係なく、村人全員が戦士となるのだ。
その戦いではあらゆる武器の使用が許可され、血も涙も無い惨劇が毎年の様に繰り返さている・・・


「よーしこれで残るチームは3チームだな。」
バリケードの一つに陣取り、俺達は作戦会議を始める。
残り3チームはどれも強豪揃いだ。しっかり対策を立てておかないと。


因みに雪合戦は、二人組か三人組のチームで行われる。
参加者は胸に破けやすい紙のゼッケンを付け、それを雪玉で破られれば失格となり以降の戦いには参加できなくなる。
そしてチームの内二人が失格となれば、そのチームは敗北だ。
二人でも三人でもこれは変わらないので、三人なら戦力は多いが被弾のリスクも大きい。一概には有利とは言えない訳だ。
そしてどんな武器でも使用可能だが、ゼッケンを破損するのは「雪」で無ければならない。それ以外の手段で破損した場合は反則で失格となる。
あと出血にまで至る負傷をさせた場合も失格だ。
大雑把なルールではあるが、これのお陰で雪合戦は毎年一大イベントとなる。
このルール内において、参加者の知恵と力の全てが試されるのだ。


残る3チームは、アンナとコウライのペア、ラジーとすーさんとのペア、そしてガランとラスのペア。
対する俺達は、俺とトトル、ククルのトリオ。
ククルの素早い雪玉製造技術、トトルの尻尾による雪玉投擲、そして俺の雪玉専用弓のお陰でここまで生き残ってきた。
だがここからは正直、かなり厳しい戦いになるだろう。
どのチームも一筋縄ではいかない連中ばかりだ。
戦場は今、嵐の前の静けさに包まれ、全く動きが無い。
逆に言えば、それぞれが攻めあぐねいている状況だ。
このメンツなら、下手に動いた者からやられると、全員が分かっているのだろう。
「ガランとラスは体力が脅威だが、まぁあの二人ならすぐボロを出してやられるだろうな。」
「となると・・・残り二チームが問題だな。」
その二チームのうち、本命はアンナペア、ダークホースはラジーペアだ。
アンナペアは雪玉にコウライの雷を付与し、それをアンナのボウガンスナイピングで射出するという戦法だ。例えゼッケンを外しても、体のどこかに当たれば痺れて動けなくなり、そこを第二射で仕留められる。お互いの能力と技量を把握しきっているからこその、恐ろしい連携。これに他のチームは次々倒れていった。
対して、ラジーペアの方は未だ俺達は遭遇していない為、実力も作戦も未知数という状態だ。
「できればラジー達とガラン達が相討ちになってくれると助かるんだが・・・」
「・・・いや、それは無理そうだ。」
「にー!」
トトルとククルの耳が、何かを察知したらしい。
俺も耳を澄ませると、微かに風の音が聞こえてきた。
あいつら・・・痺れを切らして動き出したか。
「だーっ! 隠れてるだけじゃつまんねー! とっと出てこーい!」
「うおりゃああああ! どらっしゃああああ!」
遠くの方で二人の声と、雪が弾け飛ぶ音、風の吹き荒ぶ音が聞こえる。
バリケードから少し顔を覗かせると、闇雲に暴れまわる二人が居た。
あーあー・・・あれじゃ狙って下さいと言ってる様なもんだ。
二人とも雪の狩場じゃ猛威を振るうモンスターだが・・・頭が付いていってないというか・・・。
そして案の定、別チームからの攻撃がやってきた。
二人の上空に、突如雪の塊が飛来する。
「へっ!?」
「うおっ!?」
重力に従い、雪は四散して二人に降り注ぐ。
ゼッケンを破くまでには至っていないが、この攻撃でかなりヨレヨレだ。
「くそっ! どこから!?」
「ここだよぉ!!」
「んなっ!?」
雪煙にまかれた二人に、すーさんが肉薄する。
そして雪を固めて作った大剣で、二人のゼッケンを瞬く間に切り裂いた。
「うがー!! やられたー!」
「はっはぁ! まだまだだなぁ!」
「悪いわねー。こっちも本気なのよ。」
木立の方からラジーも顔を出してきた。
その手に握られているのは・・・布?
・・・ははぁ、そういうことか。
おそらくラジーペアの戦法はこういうことだろう。
まずラジーがハンマースイングの要領で、布に包んだ雪をターゲットの上に放り投げ散布。
ゼッケンの強度を落とし視界を奪った上で、すーさんがトドメを刺す。
なるほど中々に効率的な・・・これは結構強敵かも・・・。
「ユーリ、今なら油断してる二人を倒せるんじゃないか?」
「いや待て、ここまで来たら・・・アンナたちも動く筈だ。」
俺の読みは的中した。
油断して出てきたラジー目掛け、雷付きの雪玉が飛んできたのだ。
だがラジーは直前にその気配を感じ、身を翻した。
「はっ!」
そして持っていた布で、雪玉を叩き落とす。
おぉ・・・まるでどこぞの大自然の巫女のようだ。
続々と飛んでくる雪玉を、踊るようにしてラジーは叩き落としていく。
「すーさん、あそこ!」
「おうよ!」
雪玉の飛んでくる方角から、アンナの位置が割り出されてしまった。
こうなれば、今度はアンナが不利だ。
スナイパーは近寄られてしまうとどうしようもない。
だがそんなことはアンナは百も承知の筈・・・だというのにあんな無駄撃ちを、アンナがするだろうか・・・?
「うぎゃっ!?」
突如、すーさんが地面に倒れ伏した。
「すーさ、あぐっ!?」
そして次はラジーが。
そこを逃さず、雪玉が二人のゼッケンを撃ち抜いた。
「・・・私を忘れてもらっては困る。」
今度は木立からコウライが出てきた。
「コウライさんずっるーい! 雪に電気流すなんて!」
「反則だー!」
「多少痺れる程度だ。怪我だってしていないだろう。」
なるほど・・・アンナとは別行動中のコウライが、二人の足元に電気を流し、動きを止めたのか。
雪玉に電気を込めるため二人は一緒と言う思い込みを逆手に取った、見事なまでの心理作戦・・・やはり本命はあの二人か。
「さて・・・瞬く間に残るは俺達とアンナ達だけになったな・・・どう攻めるか・・・。」
コウライの電気はそれだけで脅威だし、アンナのスナイピングも顔を出した時点でアウトだ。
「ユーライア! 残るはお前たちだけだぞ!」
うへぇばれてら。
しょうがない・・・真正面からぶつかってもやられるのなら、ここは
「ククル、例のセリフだ。」
「ん!」
ククルは立ち上がり、最大限の音量で叫ぶ
「こーらーい!」
「ぬ? ククル?」
「こーらーいなんか、だいっきらいー!」
「なっ!?」
「もーあそびにもいかないー!」
「なっ、な、なん・・・だと・・!?」
はははこれぞ対コウライ用最終兵器! 『コウライなんか大嫌い!』
ククルの口からこう言われては、最早立ち直れまい。
「そ、そんな・・・! お、おおおぉぉ・・・!」
よし、効果は抜群だ!
絶望で動けないコウライを、俺は狙い撃つ。
見事、ゼッケンは雪に散っていった。
「・・・っ! ユーライア! 謀ったな!」
「悪く思うなよおっぐ!?」
だが矢を放つ為身を乗り出したせいで、俺のゼッケンもアンナに撃ち抜かれてしまった。
「ユーリ!」
「大丈夫! これも計算の内だ!」
これであちらに残ったのはアンナのみ。
対するこちらにはまだトトルが居る。アンナ相手に弓は通用しないと端から分かっている以上、足の速いトトルで接近する他無い。
そしてその為の障害であるコウライも今倒した。
勝機はこちらにある!
「行け! トトル!」
「・・・分かった!」
白い雪原に、トトルの黒い影が流れていく。
音も無く走るその姿は、正に影だった。
「ったく、返事だけはホントいいんだからな・・・。」
「にー・・・」
「あぁ、大丈夫だ。ゼッケンだけ綺麗に撃ち抜いてくれたからな・・・。」
心配そうな視線を送るククルの頭を、ぐしぐしと撫でてやる。
勝って帰ってこいよ・・・トトル・・・




「ごめん・・・負けた・・・」
「これだけ引っ張っといて何やってんだお前はー!?」
「痛い痛い痛い尻尾痛い!」
「いやーすぐそこまで来られた時は流石にヤバイと思ったんですけど、新しいメイド服で手を打ってくれました。」
「やっぱりか! 何となく分かってたけどやっぱりか!」
「なーめいどふくって何だ?」
「この世で一番素晴らしい服だ!」
「ラスにまで嘘教えるな!」
「あだだだやめっやめてっ尻尾そんなに伸びない!」



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コメント

…心理作戦ってスゴイ、と感じますね…互いに弱点を知っているととくに…

  • 2008/11/14(金) 00:53:46 |
  • URL |
  • kei #VigCwx8I
  • [ 編集 ]

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